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「ロボアプリマーケット for Biz」における人気ロボアプリの1つである「ペップレ」。これは、Pepperにプレゼンをさせるためのロボアプリだ。このロボアプリを開発したエクスウェアは、プレゼンからその後の質疑応答までをPepperに任せられるロボアプリを開発、販売している。

エクスウェア株式会社
代表取締役
滝本 賀年氏
エクスウェア株式会社
ITソリューションユニット
ロボティクスLAB 主任
鵜口 大志氏

Pepperと他のシステムを組み合わせ
誰もが価値を享受できるトータルソリューションを提案したい

Pepper for Biz向けロボアプリ「ペップレ」は、「ロボアプリマーケット for Biz」で売上本数NO.1(※)となるなど、非常に好調ですね。(2017年9月時点)
滝本氏:ペップレは、クラウド上で作成したスライドと原稿をもとにPepperがプレゼンテーションを行うロボアプリです。Pepperの胸にあるディスプレイにプレゼン資料を表示するのはもちろん、iPhone やiPad と接続したうえで大型ディスプレイに資料を表示することも可能です。Power Pointのコメント欄にテキストを入力するだけで、スライドに合わせてPepperが一言一句間違えずに話してくれ、スライドの再生回数やループ、音量設定なども簡単にできます。店頭や展示会で、Pepperに製品やサービスを紹介させたいというニーズを持つ多くのお客さまに好評です。
ヒットの理由をどのように考えていますか。
滝本氏:「分かりやすさ」「使いやすさ」、そして言葉を発する人型ロボットであるPepperでやることに意味がある「必然性」だと思います。開発当時から、この3つのポイントを意識していました。そう考えるに至った背景には、実は過去の失敗があります。
どのような経緯があったのでしょうか。
滝本氏:当社の創業は1995年。ロボアプリどころか、インターネットさえ黎明期とされる時代です。もともとは富山県にある集積回路の検査装置などを製造していた会社が、ソフトウェア開発のために立ち上げたソフトウェア事業部でした。バブルが崩壊し、ソフトウェア開発からは撤退することになったのですが、私を含む数名の有志で独立起業しました。独立当初はエンジニアをクライアント先に常駐させて開発の一部をお手伝いする仕事が中心でしたが、徐々に一括受託開発へシフト。そして、約10年前、エンジニア集団として「自分たちで作った製品を世に送り出したい」という思いが強くなり、自社製品の開発に着手しました。これがまったく売れなかったのです。技術力の高さを誇示したいという欲求が強すぎて、自己満足で終わっていたのですね。そこで、その後に着手したiPad向けのアプリ開発では、先ほどペップレのポイントとして挙げたように、分かりやすく、誰でも使いやすく、同時にiPad で利用することに意味がある「必然性」を持つアプリを開発することを目指しました。そうして生まれたアンケートアプリ「MOMONGAアンケート」は、iPad の国内商用アプリの先駆けとして高く評価され、今でもアンケートアプリとして国内でトップクラスのシェアを獲得しています。この反省と成功体験を、Pepper for Bizにおけるロボアプリ開発にも生かしたのです。
Pepperアプリの開発にあたり、特に苦労した点などはありますか。
鵜口氏:初期からPepper for Bizのロボアプリ開発に携わっていますが、ソースコードを書く開発が中心でしたので「Choregraphe(コレグラフ)」によるドラッグ&ドロップでの開発に慣れるまで少し時間がかかりました。また、Pepperがリリースされたばかりでノウハウの蓄積もなく、「こんな動きをさせたいときはどうすればいいのか?」など、最初は試行錯誤の連続でした。そんな時、Pepperのロボアプリ開発に携わっているエンジニアのコミュニティに助けられました。私たちだけでなく、みんなが試行錯誤している段階ですから、「Pepperアトリエ秋葉原 with SoftBank」に集まってノウハウを交換し合っていました。企業の垣根を超え、みんなでPepperの市場を作っていこうという雰囲気ができあがっており、心強いだけでなく、新しいものを作り上げているというやりがいも感じます。
ペップレの強化にも積極的に取り組んでいるそうですね。
滝本氏:キーワードの1つはAI(人工知能)です。現在ペップレは、決められたセリフをPepperに話させることはできますが、自然言語での会話はできません。そこで、次のステージへ移行するための壁を突破する手段の1つとして開発したのが「TalkQA for Pepper」です。もともと「IBM Watson」を活用したAIチャットボットサービスとして「TalkQA」というソフトを開発していましたが、これをPepperと連携させました。これにより、Pepperに質問すると、自動応答してくれるようになります。回答によっては、ディスプレイを使った説明、ジェスチャーを交えた案内も可能です。「ペップレ」と「TalkQA for Pepper」を組み合わせれば、プレゼンから質疑応答までの一連の流れをPepperに任せることができます。
鵜口氏:ほかに「Recruit for Pepper」というロボアプリもあります。これは企業の採用活動をサポートするもの。例えば、多くの会社が集まる合同説明会でアイキャッチ的にPepperを置き、学生に対して会社の説明を行う。面接会場でも「TalkQA for Pepper」を組み合わせれば、待ち時間の間に学生の質疑に答えることもできます。

滝本氏:自動応答AIで大変なのは質問と回答を学習させることですが、「Recruit for Pepper」では、会社概要など定型的なものから、初任給、残業、福利厚生なども学習させています。これらの質問は、興味関心は高くても、なかなか面接では聞きにくい。でも、Pepperになら聞きやすいと考えたからです。

鵜口氏:自動回答の学習については、実証実験も行っています。場所はイオンモール幕張新都心店。年齢性別もさまざまな人が訪れる場所ですから、予想もしなかった問いかけが無数に投げかけられ、とても参考になります。
今後は、Pepperを通してどんな社会を実現したいとお考えですか。
鵜口氏:今までにない、多くの人がメリットを感じられるサービスを提案していきたいですね。例えば、今年エクスウェアは店舗模型を作って「Pepperによる居酒屋」を試してみました。お店の外に設置したPepperがお客さまを呼び込んだり、店内のセンサーと連携して空席状況を伝えたりします。店内のPepperは、今日のおすすめを説明してくれたりする。Pepperをハブにして、ほかのシステムやロボットとも連携させれば、さらにできることは広がります。IoT、AIを積極的に取り入れ、Pepperとさまざまな仕組みを組み合わせたトータルソリューションを提案していきたいと思っています。
滝本氏:海外にもPepperを広めたいですね。私たちのペップレは、ロボアプリの分かりやすさから海外からの問い合わせも多く、すでに多言語化して一部の地域で実証実験を行っています。また、Pepperの活躍場所は今のところビジネスユースが中心ですが、将来は家庭内でPepperが毎日の暮らしを助けてくれたりするような個人ユースに向けても先駆的な提案をしていきたいですね。
エクスウェアの人材構成には特長がある。文系出身者の割合が高く(鵜口氏は大学院で日本文学を研究していた)、毎年グローバル枠を設けて外国籍の社員も採用している点だ。その理由を滝本社長に問うと、「これからはロボット、AI、IoTの時代。専門の知識・技術があるだけでなく、言葉の表現や見せ方など、数値化できないセンスが求められる場面も多くなります。理系の技術者だけではものの見方、考え方が偏ってしまうため、文系出身者や外国人の知識や感性を生かさなくてはいけない」と言う。同社のサービスがどれも分かりやすく、使いやすく、体験できる価値を理解しやすいのは、そうしたマネジメントも影響しているのだろう。これからの提案にも大いに期待したい。

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