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ロボット情報WEBマガジン「ロボスタ」の編集長である望月 亮輔氏にインタビュー。前身である「ロボットドットインフォ」の立ち上げから「ロボスタ」へ統合したエピソード、さらには社会とロボットの付き合い方の変化について話を聞いた。

望月 亮輔(もちづき りょうすけ)
1988年生まれ、静岡県出身。ロボットスタート株式会社 執行役員、ロボスタ編集長。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて「ロボスタ」の立ち上げに加わる。

業界の発展を図るとともに「ロボットとは何か?」を
世の中に伝えていくメディアの使命

- ロボティクスに興味持ったきっかけを教えてください。
望月 :昔から宇宙や新しいテクノロジーが好きで、「ロボットってワクワクするなぁ」という漠然とした興味は持っていましたが、Pepperの登場によって漠然とした感情が具体的なものへと変わっていきました。ある時、横浜の地下街のソフトバンクショップでPepperと話をする機会がありました。Pepperのことは当時ニュースを見て知っており、また、最初は上手くコミュニケーションできないという話も聞いていましたが、私の場合はスムーズに話すことができました。こうした、誰でも触れることができる場所で会話をした新鮮な体験を通じて、「これからロボットはより身近なものになり、そこに自分も関わることができるのでは?」と思いはじめました。
- 前身となる「ロボットドットインフォ」を立ち上げた際のエピソードを教えてください。
望月 :「どうやったらロボットに関わることができるか?」をカタチにする過程で、企業の社長たちの言葉を思い出しました。私は以前、企業の社長にインタビューをする仕事に携わっていたのですが、そこに登場する社長たちは皆「市場を創るためには情報がとても大事である」と口を揃え語っていました。一方、Webで検索をしても発表イベントなどインパクトのある記事しかメディアは取り上げておらず、ロボットに特化したメディアも専門的で一般の方々にとっては興味が沸きづらい内容と感じました。そこで、これまでの自分の経験を生かしつつロボットが発展できるメディアを作りたいと考え、「ロボットドットインフォ」を立ち上げました。
- 当時は社会に対してロボットがどのような関わり方をしていくイメージを持っていましたか?
望月 :私が初めてPepperに触れたときの期待値が高かったことや、ニュースなどの情報と照らし合わせると、すぐに一般の家庭や企業で活躍するのではと思いました。しかし、「ロボットドットインフォ」で取材をして多くの人と会ううちに、まだ単体では人と同じレベルで活躍できない面も多いことに気付かされました。当時、「ロボットドットインフォ」に寄稿するライターの皆さんとも「メディアが期待値を上げ過ぎてはいけない」とも話していました。期待値を上げ過ぎることは初めて触ったときに「こんな程度か」という印象を持つことにつながる可能性があります。しかし一方で、私はPepperに触れてロボットへの期待値が高まったことが「ロボットドットインフォ」を立ち上げるきっかけになったため、記事を作る際には事実から良い面もしっかり捉えて興味を持つ人をできるだけ増やしていこうとも考えました。私たちの記事を読んで興味を抱いてロボットの開発やロボアプリを作る人を増やし、業界自体を盛り上げたいという想いもありました。
- 「ロボットドットインフォ」から「ロボスタ」として活動しようと考えた経緯を教えてください。
望月 :「ロボットドットインフォ」を立ち上げて以来、業界に関わる人との親交が増えたのですが、その中でも「ロボスタ」は「ロボットドットインフォ」に価値を見出しており、また、「ロボスタ」もブログで情報を発信していたので、我々と相性も良いと思いました。そこで別々で活動をするよりも、情報が一極集中する環境でより密度の高い発信をしていきたいと考えて統合を決意しました。また、これからはニュースの発信だけではなく、業界で働きたい人に向けた求人サイトを立ち上げようと思っています。業界でも人材が足りないという声を聞く一方、働きたいという声を聞くこともあったため、そこを上手くマッチングさせたいと思い、「ロボットドットインフォ」でも求人サイトを立ち上げた経緯があります。求人に関しても「ロボスタ」に集約することで、情報が集まりやすくなるのではないかと期待しています。
- 「ロボスタ」のメニュー構成が、ロボット、人工知能、IoTの3カテゴリーである理由を教えてください。
望月 :コミュニケーションロボットが今後どうなっていくかを考えると、家庭のなかへIoTデバイスが入っていき、IoTがハブとなりロボットとつながるので密接な関係にあります。また、機体はハードウェアなので人工知能が必ず絡んできます。そこで、IoTや人工知能もウォッチして進化を掘っていきたいという考えから3つのカテゴリーとしています。今後は人工知能やIoTのニュースも増えていきますが、やはり私はコミュニケーションロボットに期待をしています。スマホの次の存在にもなり得る可能性があり、また、IoTのハブとして企業や家庭において将来的に人が必要とするデバイスとなっていくはずです。人工知能やIoTの情報にアンテナを立てながら、それらをふまえロボットがどのように成長していくのか楽しみにしています。
- これまで取り上げた記事のなかで印象深いものを教えてください。
望月 :1つは図書館にPepperが導入されたという記事です。全国500館に導入するため、まず一館に導入したという内容なのですが、取材を通して人の役に立つものにしたい意図がしっかりとある点に興味を惹かれました。最初から何館にも導入したほうがプロモーションにはなりますが、まず一館で機能を突き詰め、何ができれば人の役に立てるかを検証し、それを横展開していきたいという考え方です。さらに、人の代わりをさせるので、機能を突き詰めるプロセスにおいて図書館の職員の方々が「これまで自分が何をしてきたか整理できた」と語っていたのも印象的でした。ロボットの導入をきっかけに人の動きが分かる。これを研究ではなく現場で検証しながら、IBM Watson 日本語版と連携して会話をさせ、より良いものにしていこうと考えているのです。最近、特に都心部では見慣れた存在となり、プロモーションという役割からしっかり人の役に立てたいという方向になりつつあります。ロボットに何ができるのかということを、みんなが真剣に考え始めている時期なのかなと感じています。
- 印象に残った2つめとは何ですか?
望月 :もう1つは私たち編集部で3ヵ月に1回更新している「カオスマップ」です。コミュニケーションロボット業界を俯瞰できるマップなのですが、左から音声認識や顔認識といった要素技術があり、その技術で作られたロボットの一覧があり、そのアプリを作る方々、さらに活用する方々がいるというように、マップの左から右に向かってユーザとなるように作られています。Webで公開していて、2016年12月に5回目の更新を迎えます。2015年の12月に初めて作ったのですが、毎回更新するたびに数が増えており、業界が急速に発展していることが感じられます。「カオスマップ」は誰でも見られる無料版のほかPDFの有料版も公開しており、有料版は企業ロゴをクリックすると該当する企業サイトへリンクするようになっています。業界の方はもちろん業界を志す学生さんにも使ってもらえたら良いなと思います。
- 「カオスマップ」から見えてくる、最近の業界の事情を教えてください。
望月 :今は第3次ブームと言われていますが、特長的なのは海外でも盛り上がっていることです。クラウドファンディング経由で多くのロボットが生まれていて「JIBO(ジーボ)」は世界各国で注目を浴びているほか、Amazonの人工知能スピーカー「Amazon Echo(アマゾンエコー)」は300万台以上売れています。「Google Home(グーグルホーム)」やシャープが発表したロボットリモコン「ホームアシスタント」なども注目です。日本のロボットの特徴は話しやすいように目を付けることが多く、日本人は人らしさのあるものに愛着を感じるのかなと思っています。
- ロボットが普及していくことで、ロボットスタートにはどんな変化が生まれるとお考えですか?
望月 :もともとロボットスタートは、ロボット向けの広告配信システムを作る会社です。スマホアプリは無料でも広告を置くことで収益を得ていますが、ロボアプリも将来的にそうなるのではないかと考えました。例えば、ユーザが無料でロボアプリをダウンロードできる代わりに、ロボットが会話の中で広告情報を喋るという形式もあると思います。すでに情報発信のシステムは作っており、広告代理店やアプリを作る多くのデベロッパーと契約をしていて、いつでも始められる状況なのですが、まだロボットが普及していません。そのためにコンサルティングや「ロボスタ」のような情報発信、さらには求人情報を出すなど業界全体の発展を促してメディア価値を高めている途中です。
- 「ロボスタ」からの情報発信によって、世の中に何を伝えていきたいですか?
望月 :私自身は友達みたいに冗談を言ってくれるロボットが欲しいのですが、一人ひとり欲しいものは違うと思います。例えばスマホであれば人々がイメージする形は大体決まっていますが、ロボットは果たす役割も幅広く、形状もさまざまです。「家事をして欲しい」とか、「自分の代わりに一日中働いて欲しい」とか、欲しいロボット像はたくさんあると思いますが、それぞれ欲しい人に行き渡る世の中になっていけると良いなと考えています。ただ今は「ロボってなんだ?」ということを知ってもらう段階。知識の有無で期待値も変わってきます。そのため私は「ロボスタ」での活動を通し、世の中にロボットリテラシーを植え付けていきたいと考えています。
Pepperの登場によりロボットへの興味を高めた望月氏は、業界全体が発展できるメディアを作るため「Robott.info」を立ち上げた。しかし活動を続ける中で、ニュースや求人などの情報がより集中する環境を整えたいという思いから「ロボスタ」と「ロボットドットインフォ」を統合。ロボット、人工知能、IoTの3カテゴリーを設け、それらがどのように絡んで成長・進化していくのかをウォッチし、情報発信するメディアへと育てている。そうした「ロボスタ」の記事で印象に残っているのは図書館内で質問に答えるPepperの事例。プロモーションではなく人の役に立つ機能を突き詰める取り組みに興味を惹かれたという。また、自社で3ヵ月に1度作成する、業界を俯瞰できる「カオスマップ」は更新の度に数が増えており、業界の発展を感じるという。望月氏はこうした変化をふまえ、「ロボスタ」を通して読者にロボットリテラシーを植え付けていきたいと語った。

続きの記事はこちら
未来を変える「ロボットとの協働」という考え方 「ロボスタ」編集長が語る、ロボティクスの現在と未来(後編)
 
ロボット情報WEBマガジン「ロボスタ」
https://robotstart.info/
(取材日 2016.11.17)

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