北海道帯広市

農業IoTで生育状況の把握や病害発見を実現

北海道の十勝エリアの農業中心地「帯広」でドローンが撮影した
ほ場の画像やセンサーから収集したデータをAIが分析

ドローンなどを活用したスマート農業ソリューションの実証実験を開始

北海道帯広市は、北海道東部の十勝地方のほぼ中央に位置する。人口は約17万人で、農業を主要産業とする十勝地方の中心地であり、農産物集積地、商業都市としての役割を担っている。また、市域の約6割を占める中央部・北東部の平地は、その約半分が農地であり、全国でも有数の大規模経営の畑作・酪農地帯である。
その帯広市で小麦栽培などを手掛ける「火ノ川農場」では、2017年12月からソフトバンクらと協力して、農業へのIoT活用に乗り出した。

※ 実証実験は、北海道帯広市清川エリアならびに火ノ川農場、株式会社十勝毎日新聞社、ドローンを提供する株式会社オプティム、ソフトバンク株式会社などが共同で実施する。

実証実験の内容と狙いは?

日本最大の小麦産地である十勝地方では大規模な栽培が実施されている。国産小麦の6~7割が北海道で生産されているが、さらに秋播き小麦においてはその約半数がこの十勝地方で生産されている。中力粉用小麦として注目されている「きたほなみ」の栽培も盛んだ。帯広市清川エリア全体では、580ヘクタールになるほどの規模だ。広大な農地ゆえに、収穫までには相当な人手や刈取時期の判断などの工程を要している。

その大規模な小麦栽培の農地で、2017年12月から2018年9月にかけての秋播き小麦の生育過程において、農業IoTの実証実験が実施される。ほ場に設置するセンサーによって外気温や湿度、照度、土壌温度や土壌水分、EC値 (電気伝導率)などを測定し把握する。さらに、ドローンによって上空からほ場の確認、固定翼ドローンを使用した広範囲での空撮による地域全体の生育分析、農作業記録のシステムなどを複合的に活用し、育成状況や病害の状況から収穫予測の最適な判断を行うことで、その先の商用化を検討する予定という。

予定されている実証実験の項目は次の通りである。それぞれの項目を、共同で実証実験に参加する企業や農場が分担して対応する。

【実証実験の主な項目】

  • 定期的なほ場の確認
  • 定点観測による気温、土壌水分のデータ集積・確認
  • 土壌診断結果と小麦の生育の比較
  • 小麦の成熟度の調査と衛星写真を用いた調査との比較
  • 小麦の株立ち本数の調査
  • 病気等、生育不良の個所の特定

実証実験に至るまで

2017年8月に十勝毎日新聞社から紹介を受け、火ノ川農場や農協へソフトバンクが打診を開始した。その後、11月にかけ実証実験の開始に向けた準備を各社で協議の上進めてきた。例えば、実際に大型のドローンを飛ばしたりセンサーを設置するとなると、滑走路や保管スペース、電源確保なども必要になってくる。火ノ川農場が中心となり、実証実験がスムーズにできる環境を整え、火ノ川農場の小麦畑3.3ヘクタールでの小型ドローンによる空撮を予定しているほか、帯広市清川エリアでは、固定翼ドローンによる試験も予定されている。

種蒔き後1か月半の現地小麦畑(11月中旬)

秋播き小麦の種まきから収穫までの過程では、雪が降る期間も長い。雪解けすぐのタイミングでほ場をドローンで確認するほか、追肥や開花の時期にもドローンでの撮影を予定するなど、工程について事前に協議を重ねてきた。 

植生分析(NDVI:Normalized Difference Vegetation Index)の画面

これまで、小麦の収穫時期は、人間が直接ほ場を確認して決定していた。今回の実証実験には「ドローンやセンサーの情報を組み合わせることで、人手をかけずに収穫時期を決められるのではないか」と火ノ川農場も期待を寄せる。

日々の食生活に欠かせない存在である小麦粉。AIとドローンを組み合わせた農業IoTで、どんな小麦が育つのであろうか。実証実験の成果に今後も期待が大きく膨らむ。