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品川女子学院で生徒にPepperアプリを開発させるという「Pepperアプリ特別講義」を実施することになった株式会社ヘッドウォータース。生徒が楽しめるカリキュラムの構築や学校の定期試験期間を避けてスケジュールを組むといった学校特有の事情に苦労しながらも、ついに特別講義の当日を迎えた。果たして生徒は楽しんでくれるのか?そして、生徒から出てきたアプリのアイデアとは?

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【IT教育最前線】中学生が授業で学ぶPepperアプリ開発
株式会社ヘッドウォータース(以下、ヘッドウォータース)はシステム開発会社として、創業10年でさまざまな開発を手掛けてきた。近年ではソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」を中心に独自に開発したロボットアプリの提供を行っており、国内でも有数の開発実績とノウハウを有している。また、コミュニケーションロボットのさらなる有効活用場面を創造するため、AIを用いたクラウドロボティクスの開発にも注力している。

「生徒たちのアイデアをカタチにして、記憶に残る体験を生み出す」ミッションへの挑戦

「生徒からどんなアイデアが出てくるのか」。一抹の不安を抱えながらも特別講義の日はやって来た。しかし、大人の心配をよそに、実物のPepperを初めて見た生徒たちの反響は大きかったという。

塩澤 :ヘッドウォータースが開発した1対1でコミュニケーションができる「リアクション会話」というアプリをPepperに入れて持って行ったのですが、生徒たちのリアクションは予想以上でした。たまたま通りかかった生徒も「Pepperがいる!」と言って話しかけるなど、とにかく大人気でしたね。生徒たちがPepperを壊してしまうのではないかと先生が心配するくらい反応が大きかったです。
- 特別講義は何人くらいで行われたのですか?また、講義の進行はどのような感じでしたか?
塩澤 :約40人を定員として受講したい生徒を募集したそうです。実習はグループに分かれて行いましたが、生徒ごとの理解度を考慮して、レベルがバランス良くなるように先生がグループ分けをしてくれました。授業中にヘッドウォータースの技術者たちが見て周りながら、どこで行き詰まっているかをアドバイスしてサポートをしましたので、5回の授業を通して滞りなく進めることができましたね。
肝心の企画フェーズでは生徒のアイデアを生かし、3つのアプリ企画が成り立ったことで塩澤氏は安堵したという。企画内容と生徒にお願いする3つの開発作業は、それぞれどういったものだったのだろうか。

塩澤 :どんなアイデアが飛び出すのか、生徒たちの発想は蓋を開けてみないと分かりませんでしたが、調整を行い最終的に作成するアプリを3種類に絞り込みました。1つ目は昇降口や玄関で人と会話し、相手の笑顔の写真を撮って集めるアプリ。2つ目は校内を案内するアプリ。そして3つ目が、保健室で悩み相談を聞くアプリになりました。そして、生徒には各アプリでPepperが喋るコミュニケーション部分のテキスト作成をお願いしました。笑顔の写真を集めるアプリでは、人を笑わせるための会話や動きの作成。校舎案内では、どんな言葉で案内をするか、また、案内時に見せるタブレットの説明画像の作成。保健室で悩みを聞くアプリでは、悩みを抱えて来た人にどういう声をかけたら良いかを作成してもらいました。
- 会話文作成時の開発環境は、どういうものだったのですか?
塩澤 :教室ではヘッドウォータースから持ち込んだ2台のPepperを使いました。コレグラフで開発したアプリのロボットの喋りや動きは、コレグラフにあるシュミレーター上で再現することができるので、実際に試しながらテキストの作成を行いました。コレグラフを使いこなすのは難しいかなと想像していましたが、生徒たちの吸収は想像以上に早く、Pepperの動きの制御もすぐに覚えてしまいました。また、作ったテキストも真面目な挨拶が多いグループ、人を笑わせるネタが多いグループなど、各グループの特色が出ていて非常に面白かったですね。
企画・開発は実現し授業は進んだ。しかし、3つのアプリの企画が成立し、安堵できる状況になるまでには隠れた苦労があったと塩澤氏は振り返る。

塩澤 :企画が出てきた段階で、どんなアプリにしてどの部分を作ってもらうのか、社内で検討を繰り返したところが苦労のポイントでした。特別講義が中断する1学期の中間テスト期間を利用し、技術的な検証や開発スケジュールとも照らし合わせたうえで、面白い企画にカスタマイズして選抜し、次の授業で発表を行うまでは大変でしたね。また、3つのアプリを作る際には新たにグループを分け直し、アプリの中のコミュニケーションをみんなで作っていく進め方にしました。より人間らしいユーモア感も出せるようにPepperの身振り手振りの角度調節も教えて会話と合わせて制御してもらうようにしました。特に企画の選抜には時間を要しましたが、生徒にやってもらう難しい作業と比較的簡単に進みそうな作業の棲み分けをして狙い通りに授業へ組み込めたと思っています。
- 生徒のアイデアから、何か気づかされたことは?
塩澤 :生徒がPepperに触れる様子や出てきたアイデアを見て、中学生が理解し満足できるものはやはりコミュニケーションだという答えに辿り着きました。特に笑顔を集めるアプリと保健室の悩み相談アプリの2つは、Pepperとコミュニケーションすることが主体だったということもあります。一方、校舎案内アプリはタッチパネルで表示する校舎のスライドショーも生徒が作ることになったため、Pepperの特長であるコミュニケーション機能に触れる時間が他の2つより短かったことは今後の課題であると思っています。
特別講義において、自分たちの考え方を再確認したほか、企業相手の仕事では知りえなかった体験ができたと語る塩澤氏。ヘッドウォータースが用意周到に計画してきたプロジェクトには「嬉しい誤算」があったようだ。

塩澤 :私たちは他社よりも早い段階からPepperのアプリ開発をしてきました。そのなかで常に考えているのが、Pepperの良さを生かしたアプリ開発をすること。Pepperの良さとは「コミュニケーションができるところ」です。授業で生徒が楽しんでPepperが喋る言葉を作っているのを見たときに、やっぱりコミュニケーションを主軸にしてアプリを作ることが大事であることに気づかされました。そしてもうひとつ。このプロジェクトではエンドユーザのリアクションを見ることができたと思っています。私たちは普段、企業から発注を受けシステムを開発し、納品することが主な仕事です。発注を受けた企業から喜んでいただく経験はありますが、その先にいる利用者が喜ぶ姿を見る機会は多くありません。サポートで参加した技術者も生徒の笑顔を見て大変喜んでいました。こうした体験は想定外でしたが、その後の仕事へのモチベーションアップにつながっています。
- アプリの発表時の様子や、学校からの評価はいかがでしたか?
塩澤 :最後にアプリのお披露目会をしたのですが、授業に参加した生徒はもちろん、参加していない生徒までも話を聞きつけて見に来てくれました。笑顔の写真を集めるアプリでは、笑顔がたくさんあってPepperがどの笑顔に反応したのか分からないくらいでした。授業の内容や進め方も手探りの連続でしたが、学校からは「良いかたちで教えていただきました」と評価していただき、とても嬉しく思っています。
品川女子学院のコラボプロジェクトを通し、ロボアプリビジネスのヒントを得たヘッドウォータースでは、新たなるアプリ開発に意欲を燃やしているという。

塩澤 :保健室の悩み相談アプリで気づかされたのですが、人とロボットが円滑なコミュニケーションをとるためには、人とロボットが相互に認識・識別することが必要であると考えました。この経験をきっかけにヘッドウォータースでは、ロボットが相手に合わせた対応ができるアプリケーションの構築を進め、人の顔を認識する機能を持つロボット管理プラットフォーム「SynApps(シナップス)」を開発しました。顔認証をして会社の受付をするアプリとしてリリースしていますが、今後も人を認識・識別して、対応を変えるロボットソリューションの開発をしていきたいと考えています。
- 人とロボットの関係を活かした、アプリ開発におけるアイデアのタネを教えてください。
塩澤 :学校に限らずですが、人に対し人が接するべき場面と、ロボットのほうが良い場面があると思っています。最終的に企画採用を見送ったのですが生徒の考えたアイデアに、廊下を走っていたらPepperに注意されるアプリというものがありました。「先生に怒られるよりもロボのほうがいい」が企画意図です。微笑ましい理由ですが、例えばロボットは廊下を走ったら注意するなど、プログラムで教えたことは間違いなく実行できるのが特徴です。また、怒らず優しく注意します。そうしたところは今後ロボットが活躍できる可能性があるのではないかと考えていますね。
特別講義では、アプリの企画案から生徒に依頼し、その内容を吟味して現実可能なものとすること。さらに、限られた時間で中学生でもできる作業を楽しんでもらうこと。この2点にヘッドウォータースは苦労したという。しかし、この難しい状況をPepperの良さであるコミュニケーション機能を軸に考えることで乗り越えることができた。また、プロジェクトを通して喜ぶ生徒の姿に、普段は見ることのできないエンドユーザの姿を重ね合わせ、その後の仕事へのモチベーションもアップにもつながったという。プロジェクトは無事成功を収め、その後、生徒たちからのアイデアをヒントに人の顔を認識する機能を持つロボット管理プラットフォーム「SynApps(シナップス)」を開発。学校とコラボする経験が、企業相手のロボアプリビジネスに生かすこともできた。

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