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AIを活用したビジネス変革の期待が高まる中、画期的な取り組みで注目を集める企業がある。鹿児島市に本社を構える業務用総合食品卸の西原商会グループだ。「IBM Watson」を活用し、営業力の強化を目指すという。AIでビジネスはどう変わるのか――。グループのAI活用を推進する西原商会マネジメントの新村 友和氏と、その導入をサポートした日本IBMの山内 明氏に話を聞いた。

新村 友和
(しんむら ともかず)

株式会社 西原商会マネジメント
広報室 課長 
山内 明
(やまうち あきら)

日本アイ・ビー・エム株式会社
エンタープライズ事業本部
西日本支社 九州支店 次長 兼 公共営業課長
株式会社西原商会
ホテル、レストラン、結婚式場、料亭、居酒屋などに食品を提供する業務用の食材卸専門商社。
「味の世界をひろげ、笑顔をひろげたい」という信念のもと、新鮮な食材を低コストで提供するための体制や物流、衛生管理の改善、顧客のメニューの幅を広げるための提案活動などに積極的に取り組んでいる。

知りたいことは「おしえてカイくん」に!IBM Watson活用で高まる営業の提案力

西原商会様の事業の内容について教えてください。

新村氏:当社はホテル、レストラン、結婚式場、料亭、居酒屋などへ食材や食品を販売する業務用食品卸の専門商社です。北海道から沖縄まで59カ所の営業拠点があり、全国を網羅する営業網と配送網を整備しています。グループには、食品製造を行う企業もあり、単なる卸売り事業だけでなく、他社にはない自社ブランド商品の提供も行っています。
体制面でも特長があるそうですね。
新村氏:当社の大きな特長は、同じ担当者が営業と配送を兼務していることです。「食品卸のプロ」として、要望やニーズに合った商品、当社の食材を使った新しいメニューの提案などを行うには、お客様に対する深い理解が不可欠。そのためにも、担当者には、お客様と緊密なコミュニケーションを取ってほしいからです。
グループ会社の人気スイーツ「西通りプリン」
一方、営業活動の現場には、課題があったと聞きました。
新村氏:世界中には、さまざなな食材がありますし、季節ごとの「旬」もあれば、日々、多様なトレンドも生まれています。そうした中、営業担当者が的確に新しい提案を行っていかなければなりません。しかも、食品卸業としては、おいしいだけでなく一定量を安定的に供給できるのかという視点も欠かせませんし、食の安全・安心のために含有するアレルギー成分にはどんなものがあるのかといった情報も把握しておく必要があります。しかし、グループ全体で扱う商品は10万アイテム以上。とても営業担当者が把握しきれる情報量ではありませんでした。
営業担当者は、どうやって情報を手に入れていたのですか。
新村氏:営業担当者は、商品に関する情報を得るために、商品の詳細を把握している仕入企画部や貿易部などの担当部署に情報提供の依頼をしていました。それから、依頼を受けた部署がリサーチして営業担当者に回答するのですが、多くの営業担当者から依頼が寄せられるため、どうしても回答までに時間がかかってしまいます。依頼の中には似た内容のものも多く、その都度回答しなければならない仕入企画部や貿易部にとっても負担となっていました。
問題をどのように解決したのでしょうか。
新村氏:目を付けたのがAIです。営業担当者からの問い合わせに対して、AIが適切な情報を取捨、さらには情報と情報を組み合わせて提示してくれ、営業担当者の提案力を強化してくれる。そんな仕組みを目指しました。AIとして採用したのは、IBM Watsonです。
システムの具体的な使い方について教えてください。
新村氏:IBM Watsonを使って「おしえてカイくん」というシステムを開発しました。「おしえてカイくん」に質問すれば、社内にある商品情報などを効率的かつ網羅的に抽出できます。例えば、商品の特長や保存方法、調理法、含有成分はもちろん、ウィキペディアにヒントを得て構築した「ニィシペディア」という情報ライブラリで紹介されているメニューやレシピへも誘導してくれます。明確に商品名を指示しなくても、例えば「今、旬の食材は何?」といった質問をすれば、適切な食材や最近のトレンドに合わせたレシピを提示してくれるなど、営業担当者が知りたかった以上の情報を得ることができます。
IBMはどのようなサポートを行っているのですか。
山内氏:想定される質問と回答をパターン化し、IBM Watsonに学習させています。より多くの方に使っていただき、いろいろな切り口の質問や最適な回答を学習させ続け、継続的に「おしえてカイくん」の回答能力を高めています。
現在の「おしえてカイくん」の利用状況と成果について教えてください。
新村氏:ほぼすべての社員が自席のPCから「おしえてカイくん」を使えるようになっています。当社はITの活用に積極的で、新しいことにチャレンジすることにも抵抗が少ない。AIという先進的な技術を活用しているというワクワク感も高く、現場は、非常に協力的です。自分たちの業務がいい方向に変わっていくという期待に溢れています。今は、まだまだ「おしえてカイくん」を育てている段階ですが、既に成果も現れています。お客さまからの問い合わせへの回答のリードタイム短縮がその1つ。先にお話ししたように、食材などの情報は営業担当者が仕入企画部などに問い合わせて回答をもらうため、最短でも2日かかっていました。今はそれを即日対応できるようになっています。また、情報を調べる側の業務負担も減り、業務効率も2割向上しています。
今後は「おしえてカイくん」をどのように発展させていく考えですか。
新村氏:商品やレシピだけでなく、多様な情報との連携を進めることで「おしえてカイくん」をよりフレンドリーで賢いシステムにしていきたいですね。例えば、適切な温度管理がなされていたかなど、商品のトレーサビリティに関する情報もすぐに得られるようになれば、お客さまの安心感の醸成につながります。他にも、社員研修のツールとして活用し、食の知識・知見の向上に役立てるなど、さまざまなアイデアがあります。
山内氏:自然言語での会話を理解し、必要な情報をすぐに得られることがIBM Watsonの強みです。情報はあっても、それを十分に使いこなせていないという企業は少なくないと思います。IBM Watsonを活用すれば、必要としている人に、必要な情報をタイムリーに提供できるようになるだけでなく、問い合わせた本人の意図していなかった情報まで提案してくれます。埋もれている情報を有効活用できるメリットは非常に大きいと思います。メガバンクや研究所など、比較的大規模な企業・団体で活用されるケースが多いため、興味はあってもハードルが高いと思われがちですが、規模の大小を問わず、幅広い業種・業態で利用できます。西原商会様の取り組みは、IBM Watsonの可能性を広げてくれる事例として、IBMとしても大いに期待しています。

新村氏:どんなビジネスでも世の中の変化に対応していかなければ、取り残されてしまいます。変化に対応するためにはチャレンジが必要。当社のAI活用は走り出したばかりですが、AIでビジネスが変わる予感をひしひしと感じています。
すでにAIに関する企業の焦点は「どんなものか」ではなく、「どう使うか」に移りつつある。食品卸という専門性の高い業種で、IBM Watsonの活用に乗り出した今回の事例は、AI活用が新たな局面を迎えたことを実感させる。ソフトバンクもまた、IBM Watsonを活用した「SoftBank Brain」というスマートフォンアプリを構築し、自社業務に積極的に活用。その経験と知見を活かし、IBM Watsonの導入・活用もサポートしている。AIをビジネスの武器に変えていく頼れるパートナーと言えそうだ。

(取材日:2017.5.12)
 
取材協力 株式会社西原商会
http://www.nishihara-shokai.co.jp/
 
IBM Watson
https://www.softbank.jp/biz/watson/
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