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九州を代表するシステムインテグレータとして、様々な業種および業務をカバーするIT機器やパッケージの販売、システム開発、保守サービスなどを提供。他社に先駆けて「Pepper for Biz」における業務向けアプリの開発に挑戦し、多くの成果を上げている。
ビジネス強化に直結する新戦力・即戦力として、既に2,000を超える企業で活用されているソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper for Biz」。そのインタラクティブなコミュニケーションから付加価値を生み出すために欠かせないのが、さまざまな業務に特化したアプリだ。早くからPepperのロボアプリ開発に挑戦し、数々の業務支援を行っているエコー電子工業の椋尾 和彦氏に、これまでの実績と今後の可能性を聞いた。

経験と技術力、そしてアイデアで、Pepperの可能性を広げていきたい

御社と「Pepper」の出会いを教えてください。
椋尾氏:エコー電子工業は、創業期は長崎県佐世保にて無線の修理販売事業を、現在は九州を中心に主としてSI事業を展開している企業です。今年で54期目となり、持続的な成長の足がかりとして、6年前に東京支店を開設しました。東京支店ではスマートフォン、タブレット端末のアプリ開発、業務システムのモバイル対応などの事業から始めましたが、既に市場が形成された後で、先頭を走れないもどかしさがありました。エコー電子工業らしい強みをどう発揮するか──。未成熟な市場をフロンティアとして切り拓きたい──。その矢先に、ソフトバンクがPepperでロボティクス事業へ参入するというニュースに触れ、「これはおもしろそうだ」「チャンスじゃないか」と考えたのです。
Pepperのどこに可能性を感じたのでしょうか。
椋尾氏:開発環境がオープンであった点、そして、ネットワーク接続が前提となっていた点です。これなら当社が培ってきた技術と経験、そしてアイデアで勝負できると感じました。当初、ロボット市場ではエンタメ系のアプリ開発が先行していましたが、当社は、その領域をあえて避け、ノウハウを持っていた「業務システム」の領域に特化して技術力を磨きました。
今年、2月に開催された「Pepper World 2017」でも、いくつかの新アプリを発表しましたね。
椋尾氏:Pepper World 2017のコンセプトは「ロボットによる業務自動化」でしたから、当社が継続して取り組んできた成果を発表するよい機会となりました。ソフトバンクロボティクス様から依頼をいただき、当社が開発に参加したものの1つが「SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)機能(β)を搭載したロボアプリ」です。これは、Pepperが設置された環境の地図を自動作成した上で、自身の位置を推定し、自動走行するものです。会場では、Pepperが自分の歴史を紹介するパネルの前を自動走行しながら、音声で案内するデモンストレーションを行いました。また、川崎重工業様のロボットアーム「duAro(デュアロ)」と連携した、iPhoneの保護シート貼りのアプリケーションや、PepperからSMSメールを送信するアプリケーションの開発にも携わらせていただきました。
duAroとの連携は、ロボットどうしのコラボとあって、SNS上でも話題になりました。
椋尾氏:duAroは2本のロボットアームを使って正確で細かい作業ができますが、人とのコミュニケーションは苦手としていました。ですが、Pepperと組み合わせれば、作業の進行状況を実況したり、アンケートをとったりしてPepperがコミュニケーション役となることができます。ロボットどうしの掛け合いという新しいジャンルの提案ができるのではないかと思います。
Pepperの法人モデル「Pepper for Biz」向けアプリのパートナープログラムで2種類の認定を取得されていますね。
椋尾氏:はい。ロボアプリパートナー(Advanced)とコンサルパートナーの2つに認定いただきました。現在、この2つの認定を持つパートナーは当社だけと聞いておりますので、Pepperのロボアプリ開発においては高い技術力と提案力を持っていると自負しています。このプログラムでパートナーに認定されると、ビジネス創出を支援するマッチングサービスを受けられるなど、さまざまなメリットを感じています。当社が最初に手掛けた事例も、そのマッチングがきっかけでした。
最初に手掛けた事例とは、どのような事例ですか。
椋尾氏:九州を中心にクリーニングチェーンを展開するエルゼ様の事例です。エルゼ様の狙いは、客単価を上げること。クリーニング店には多くのメニューがあるものの、利用者はもちろんパート従業員もすべて把握していないことが多く、注文を受ける際に細かく説明する余裕もないため、「いつも同じ」が常態化していました。そこで、Pepperを受付に設置し、待っている時間に触ってもらいながら、なかなか目に触れる機会のないサービスメニューを簡潔に説明することで、たくさんメニューがあることを伝えられないか、というコンセプトで開発がスタートしました。結果、色々なメニューがあることを知ったお客さまが、いつもと違う注文をしてくれるようになり、客単価増という成果が得られました。受付にタブレットを設置しても機能的には変わりませんが、それだけでは、積極的に利用してもらうのは難しい。Pepperがいるだけで受付の雰囲気が変わり、特に子供への訴求力がとても高いので、子供連れのお母さんが一緒に操作したり、Pepperを介してスタッフとお客さまが仲良くなるなど、副次的な効果も表れました。
開発だけでなく、導入相談、最適なソリューション提案から携わっているのですね。
椋尾氏:それが「コンサルパートナー」の役目だと考えています。提案の際には、既存の仕組みを置き換えるだけの提案は行わないということも心がけています。例えば、自治体様向けの窓口受付システムにPepperを導入した際には、ただ番号を知らせたり、観光情報を表示したりするだけでなく、住民サービスの受付管理システムとの連携を考えました。市役所などで住民サービスを受けるとき、長く待たされるとどうしてもイライラしますよね。そんな時、受付のPepperに「申し訳ありません」とお詫びしてもらうことができます。Pepperが相手では住民の方も怒りようがないですし、怒られてもPepperはへこたれませんから、とても好評です。他にも、案内係としてだけでなく、沖縄銀行様では、アンケートに答えてもらったお客さまには粗品の引換券を発行するといった試みも導入しています。
エコー電子工業自身が活用しているアプリもあるそうですね。
椋尾氏:勤怠管理システムと連携させています。社員証をPepper に見せて出社、退社時間を記録しているのですが、カメラで社員の表情も認識しています。残業が続いている上、表情が疲れていそう、具合が悪そうな社員がいたら、Pepperから上司に「Aさんがお疲れの様子でしたよ」とメールが送信されます。もちろん、これで健康管理が100%できるとは思っていませんが、気づきを促すことができるし、社内のコミュニケーションが活性化されることも期待しています。
Pepper向けに提供している御社独自のサービスもあると聞きました。
どのようなサービスでしょうか。
椋尾氏:「コンテンツ差替クラウド基盤」があります。これは、独自開発したアプリケーションのコンテンツをお客さまが簡単に差し替えられるようにするサービスです。独自開発したアプリケーションの場合、コンテンツ入れ換えのたびに当社のような開発会社に連絡して、見積りを取り、予算を確保して依頼するというプロセスを経なければならないのは現実的ではありません。そこで、クラウドを通じてコンテンツの編集が可能なサービスを開発したのです。ITスキルが高くなくても、簡単に利用できると好評です。
次のステップでは、どんな価値を提案していこうとお考えでしょうか。
椋尾氏:今考えているのはIoT連携です。例えば、温度センサーと連携させれば「ちょっと暑いから冷房の設定温度を下げてはどうでしょう」とPepperに環境管理を任せることができます。さらに、そのままエアコンや照明と組み合わせれば、自動的に環境を制御することも可能でしょう。まだまだ、可能性は無限大です。これからもPepperとともに、ロボティクス社会の先頭を走り続けたいですね。
エコー電子工業は、Pepperのパートナープログラムにおいて現時点で「アドバンスドパートナー」と「コンサルパートナー」2つのプログラムに認定された唯一の企業。強みの理由を問うと「SIとして組込みソフトに携わった経験のあるメンバーが多いこと」だと椋尾氏は話す。つまり、ソフトだけでなくハードの視点からもアプローチできるのである。ロボットとしてのおもしろさ、耐久性を維持しながら、ディスプレイの反応を極限まで高めるチューニングを行ったり、ともすればモーターに大きな負荷をかけてしまうPepperの静止姿勢も、たった1度のズレも見逃さない。このような技術力が、顧客の厚い信頼につながっているのだろう。
 
エコー電子工業株式会社
http://www.g-hopper.ne.jp/
 
椋尾 和彦(むくお かずひこ)
エコー電子工業株式会社
東京支店 デジタルシステム部
システム課 主任
 
Pepper for Biz パートナープログラム
https://www.softbank.jp/robot/developer/partner/
(取材日 2017.6.5)

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