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2017年4月に開学した東洋大学情報連携学部(INIAD)。東京のJR赤羽駅から徒歩8分でアクセスできる赤羽台キャンパスで、「文・芸・理の融合」による教育が行われている。開学前から社会的な関心の高かった同学部の設立コンセプト、カリキュラムの特長、坂村 健学部長が「世界最先端」と呼ぶIoTキャンパスの様子をレポートする。

坂村 健(さかむら けん)氏
INIAD(東洋大学情報連携学部)学部長

INIAD(東洋大学情報連携学部)学部長、工学博士。1984年からオープンなコンピュータアーキテクチャTRONを構築。携帯電話、家電等の組込OSとして世界中で多数使われている。現在、IoT社会実現のための研究を推進している。2002年1月よりYRPユビキタス・ネットワーキング研究所長を兼任。IEEEライフ・フェロー、ゴールデンコアメンバー。2003年紫綬褒章、2006年日本学士院賞受賞。2015年ITU150Award。

次の時代を切り拓くイノベーション人材を育てたい

情報連携学部(以下、INIAD:Information Networking for Innovation and Design)の設立には、時代の変化が大きく関係しているそうですね。
坂村氏:コンセプトとして掲げたのは「文・芸・理の融合」による新学問領域の創造です。IoT、AI、クラウド、ビッグデータなど、さまざまなIT技術が、これからの時代を読み解くキーワードとして語られています。今後、これらの技術の成熟と共に、私たちの社会や暮らし、産業はさらに大きく変わるでしょう。ならば、当然、学問も変わらなければならない。その中で、大学教育はどうあるべきか。INIADが、そのベンチマーク的な存在になると確信しています。
学部名にある「連携」に込めた思いをお聞かせください。
坂村氏:インターネットが社会に大きな影響を与えたのは、人と人をオープンに広くつなげたから。特定の企業や団体、グループの中でしかつながることのできない仕組みなら、これほどの影響力は持たなかったはずです。そのインターネットが生み出した現在の潮流がIoTです。人と人だけでなく、「モノ」もインターネットにつながるようになり、「人とモノ」「モノとモノ」がオープンにつながっていく。その先には、クラウドの中のさまざまなサービス同士もつながり、融合する「IoS(サービスのインターネット)」の時代が来るでしょう。従来の常識や価値観、仕組みから解き放たれ、このIoS時代を切り拓く人材に必要なのが、IT技術をどう使い、何をどう融合させれば、どんなことができるのか、またそのためにはどんなチームが必要かを考えられること。そして、そのチームをコミュニケーションでまとめあげ、機能させる力です。それを育てる場であるために「連携」を掲げました。こうした変化はビジネスの現場でも顕著ではないでしょうか。例えば、ある家電製品を開発する場合、以前なら回路が最新というだけで「ウリ」になりましたが、今は人の感性に訴えるデザイン性や、スマートフォンと連携させた新しい使い方の提案などが欠かせません。テレビを使ったマスコミュニケーションが主流だったプロモーションも、従来の手法だけでは消費者の心をつかむのは難しく、ビッグデータやSNS、AIを活用して、One to Oneのマーケティングを志向する企業が増えています。現在のビジネスも、多様な人、技術やサービスを連携させて新しい価値を生み出しているのです。私は、この場所で、人、学問領域、最新テクノロジー、産業分野などをぶつけ合い、変化を加速させる化学反応を起こしたいと思っています。
現在、どのような学生が学んでいるのでしょうか。
坂村氏:キャンパスは、さまざまな属性の学生が集まる、まさに社会の縮図です。従来の情報系学部のような理系志望者だけでなく、文系、デザイン系の学生たち、さらに外国からの留学生も多く来ています。初年度の入学生の400名のうち80名ほどが外国人。今はまだ言葉の問題がありますが、彼らがあと1年、2年と学んでいく中で、国籍や言葉に関係なくコミュニケーションをとり、ディベートしながら、新しいイノベーションの種を生み出すような環境にしたいですね。
プログラミングを1年次の必修科目として徹底指導するそうですね。
坂村氏:文・芸・理のうち、自分の得意領域に軸足を起きながら、異なる領域に対して理解を深め、コミュニケーションをとり、連携していく。その共通言語になるのが「プログラム」だからです。プログラミングスキルがなければ、どんなに優れたアイデアを思いついても、今ではそれを形にすることもできません。ただし、求められるのは情報系のシステム開発ではなく、モノやサービスを使いこなすためのプログラミングですから、専門的な開発言語ではなく、世界で広く使われているプログラミング言語「Python」、インターネットの標準言語「HTML5」「JavaScript」などを基本スキルとして学びます。
先ほどキャンパス内を案内してもらいましたが(キャンパス案内は後編にて紹介)、実践的な学びの場という印象を受けました。
坂村氏:キャンパス、校舎は世界最先端のIoTビル。カメラやプロジェクタ、照明など、さまざまなIoTデバイスにアクセスするためのIoTノードが5,000個あり、APIを通じて制御することができます。この環境を利用して、学生たちは演習時に自ら開発したプログラムで、センサーデータを取ったり、部屋の照明の明暗をコントロールしたりしています。キャンパス全体がいわば大きな実験・演習のフィールド。さまざまなデバイスとアイデアを組み合わせて、いろんなトライができます。
社会人教育にも力を入れていると聞きました。理由をお聞かせください。
坂村氏:次の時代を作るのは、何も学生たちだけではありません。すでに社会で働いている社会人も、その一員だからです。そもそも時代の変化、最新テクノロジーの重要さを最も痛切に感じているのは、ビジネスの最前線に身を置く社会人。ビジネスを成長させるために、IoTなどをどう活用すべきかを考える人は少なくありません。大学院では、建築から広告まで、さまざまな業種で働く社会人学生が学んでいます。加えて、INIADは、文部科学省の「成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成(enPiT)」の公募に応募し、社会人の再教育の中核拠点にもなりました。今後、東京大学や名古屋大学、横浜国立大学、名城大学などと連携して、社会人向けの基礎講座などを整備していきます。
開学したばかりですが、手応えをどう感じていらっしゃいますか。
坂村氏:メディアにも多く取り上げていただき、注目度の高まりを感じると同時に、期待の大きさも感じます。多くの企業や団体からコラボレーション、産官学連携プロジェクトの持ちかけがあり、外国の政府、NGOやNPOと連携したりしています。例えばEU政府が進める都市の高度化(IoT、AI、ビッグデータを活用した次世代スマートシティ構想)にもINIADが参画しています。まだお話できないものも含めて、相当数のプロジェクトが進行中です。
これから送り出す卒業生に期待することをお聞かせください。
坂村氏:INIADは世界最先端の環境を整えて学生を迎えています。周りの人たちとの連携を通じて、最新テクノロジーを道具として使いこなし、自分で考えて課題を解決する力を身につけてほしい。そして、その力をもって、新しい時代のトビラを開くイノベーションを起こすことを期待しています。
IoT化されたキャンパスは、学生とともに成長する 東洋大学情報連携学部(INIAD)
後編はこちら
 
東洋大学情報連携学部(INIAD)
https://www.iniad.org/
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