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「SoftBank World 2016」で大変好評だったエヴァンジェリスト中山 五輪男の講演。そこで、来場者を惹きつける講演を作りあげる中山流のネタの集め方や紹介した事例の裏話など、講演では語られなかった話題に迫った。

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「ビジネスに革新を!」エヴァンジェリストの仕事  
中山 五輪男(なかやま いわお)
1964年5月 長野県伊那市生まれ。法政大学工学部電気電子工学科卒業。複数の外資系企業を経て2001年ソフトバンクのグループ企業に入社。現在はエヴァンジェリストとして幅広く活動。 iPhone 関連の書籍の執筆活動や複数のTV番組出演での iPhone 訴求など、エヴァンジェリストとしての活動をしつつ、国内20以上の大学での特別講師も務めている。

エヴァンジェリスト中山流の情報収集術

- 「SoftBank World 2016」で講演する際のテーマやネタ集めは、どのように行っているのですか?
中山 :私は毎年、1日目と2日目で必ず違う内容と最新のネタで講演することをポリシーとしています。2日とも各40分で合計80分、約100ページの資料を用意します。毎年、注力するポイントを決めており、今はPepperやIBM Watson 日本語版がトレンドなので、ロボットと人工知能という2つのテーマで最新の事例をお届けすることをコンセプトに、「最先端を実現する国内先進企業の挑戦」というタイトルとしました。まだほかの企業が導入していないロボットや人工知能を使うことは、導入企業にとっては「挑戦」です。そこで「挑戦」をキーワードに新しいネタを集めようと考え、Facebookで「まだ世の中に発表されてないネタがあったら教えてください」と投稿して情報を収集しました。私はFacebookを良く使うのですが、投稿をすると多くのネタが集まります。そのリアクションをヒントに企業へアプローチをかけ、2016年は10社ほどを見つけることができました。
- ソフトバンク社内から事例を集めているわけではないのですか?
中山 :社内に頼りすぎると、すでに知られている事例が集まりがちになるので、Facebook上で5,000人の友達へ質問したり、Webで調べて面白そうなネタを独自にピックアップしています。特にSNSを通したコミュニケーションやネットワークはいざというとき大きな助けになります。そうした準備を行って本番に臨み、講演の最後のスライドで「ぜひ私と名刺交換をしましょう」と伝えたところ、今回の「SoftBank World 2016」では20分以上かかるほど大勢の方と名刺交換ができました。毎回それがきっかけとなり次の講演につながっています。年間300回程度行う講演の内、名刺交換をした方からの講演の依頼が約半分です。さらに、講演先で名刺交換をした方から、「うちの会社でも講演して欲しい」という話をいただきます。講演後に名刺交換をして、そこから次の講演依頼が来るという流れが生まれているため、だいたい常に3カ月先までは講演予定は埋まっていますし、遠いものですと1年先なんてのもあります。
- 「SoftBank World 2016」で講演した小島プレス工業様の事例はどのような経緯で知ったのですか?
中山 :小島プレス工業が製造ライン内にPepper for Bizを導入したニュースをWebで見つけ、「これは面白い事例だな」と思ったのがきっかけです。工場の製造ラインの中に産業ロボットではなく、コミュニケーションロボットを導入した事例を初めて知ったので、ぜひ紹介したいと思いました。Pepperということもあり社内で聞いてみたところ営業担当が名古屋にいることが分かったため、名古屋の営業を通じてお会いしたいとお願いし、実際には東京のソフトバンク本社で小島プレス工業のCIOの方とお会いすることができました。インタビューではIBM Watson 日本語版も業務の中で活用したいと考えており、最先端の技術を導入することにとても意欲的であることが分かりました。
- 小島プレス工業様の事例を集める中での裏話を教えてください。
中山 :後日談ですが、国内でトップクラスの企業のCIOが集まる会議が都内で開かれました。私はそこで講演をしたのですが、小島プレス工業のCIOもいらして、インタビューをしたご本人の目の前で事例を話しました。また、「SoftBank World 2016」の講演では、小島プレス工業の事例の間にPepperのリモートコントロールをはじめ、行動情報やIPカメラなどの情報も含め見える化するソフトウェアを開発しているWing Arc1st社の「Motion Board Cloud」も併せて紹介しています。これはWing Arc1stから「講演で話すネタがあるので紹介して欲しい」と依頼を受けたのですが、実は小島プレス工業と関係のある企業でした。小島プレス工業は国内の先進企業が集まり「ロボットを使って面白いことをやろう」という話し合いをする組織に参加しており、それがPepperを導入したきっかけにもなったのですが、実はその組織の中にWing Arc1stも参加していたのです。そのため、小島プレス工業の事例の中で「Motion Board Cloud」も一緒に紹介しました。両社とも講演用のネタ集めとしては別々に行っていたのですが、話を聞いていくうちに1つにつながった面白いケースでした。
- 2例目に紹介したプロトコーポレーション様の事例は、どのように知ったのですか?
中山 :クルマ情報誌「Goo」を発行しているプロトコーポレーションは、以前からお付き合いのある企業でした。私が iPhone や iPad のプレゼンテーションを担当していた当時、「データライン査定」というiPad でクルマ査定ができるツールを事例として紹介することがあり、プロトコーポレーションの方と親しくなったのですが、講演のネタを考えるタイミングで、「実は今Pepperの活用を考えている」という連絡をいただいたので取材に行きました。内容はPepper for Bizと会話をしていく中でクルマの情報を教えると、「今だったらいくらで売れますよ」と査定をしてくれる「ロボット査定」なのですが、導入の背景には“なるほど”と思わせるものがありました。講演でも触れたのですが、メンテナンスなどの目的で来ているお客さまへ、ディーラーから「クルマ査定させてくれませんか?」と質問をすると、ほとんど断わられるそうです。しかし、いざ査定をしてみると「こんなに高く売れるんだ。だったら買い替えようかな」と検討する方も多いというのです。ディーラーとしては査定をしたいが、させてもらえないことが大きな悩み。そこでプロトコーポレーションはロボットなら面白がって答えてくれるお客さまの行動に着目し、Pepperで査定をするソリューションを開発したそうです。
- プロトコーポレーション様は新しいものに敏感な企業なのですか?
中山 :プロトコーポレーションの社内にはロボット好きな方がいらっしゃるのです。Pepperが導入されるかどうかも、そういう方が1人いるかいないかで変わるんだなと感じています。企業の中で面白いことが始まるときは、大体の場合ある1人が原動力となります。最初の1人が勇気を持って挑戦し自ら動いて上司に認めてもらうことで、新しいソリューションが導入されることもあります。プロトコーポレーションの場合は、その例かもしれません。これからもプロトコーポレーションからは最先端の面白いアイデアが生まれ、実施されていくのではないかと注目しています。
- Pepperアプリを開発するイサナドットネット様の事例は数も豊富でしたが、どこで知ったのですか?
中山 :佐川急便やパルコ・シティ、グラクソ・スミスクラインなどの事例に関しては、Facebookからの情報提供もあったのですが、最初は「Pepper World」というイベントで私がイサナドットネットのブースに足を運び、名刺交換をしたことがきっかけでした。講演のネタを探す際にコンタクトをとり、「何か事例はありませんか?」と聞いてみたら、面白い事例が次から次へと出てきました。佐川急便のPepper for Bizがお客さまと記念撮影するアプリや、パルコ・シティの「SCコンシェルジュ(R)ロボ」、グラクソ・スミスクラインの男性型脱毛症を診断する「頭頂部フサフサ診断」はかなり面白く、イサナドットネットからもおすすめだったので紹介しました。
- 講演後リアクションの多かった事例を教えてください。また、IBM Watson 日本語版についても触れていましたが、エコシステムパートナーが増えている現状をどうお考えですか?
中山 :「SCコンシェルジュ(R)ロボ」はPepper for Bizがお客さまのニーズを聞き出し、「NAVii(ナビー)」というロボットが売り場まで誘導・ご案内するのですが、この事例はソフトバンクの社内から好評でした。実は「Softbank World 2016」が終わった後、社内で私の講演内容を振り返るミニセミナーを開催したのですが、人のスピードに合わせて移動できる別のロボットを使ってPepperと役割分担をする点が良かったようです。Pepperは会話が得意で、NAViiは移動するほうが得意。それぞれの長所を活かし、複数のロボットによるソリューションというのはこれから出てくると思います。また、注目なのが健康器具と連携しPepper for Bizで健康管理をする「Bism for Pepper」というソリューション。イサナドットネットもIBM Watson 日本語版のエコシステムパートナーとなったので、今後はIBM Watson 日本語版との連携も考えているそうです。2015年のIBM Watson 日本語版エコシステムパートナーは9社だったのに対し、2016年には50社を超えました。1年でこれほど増えるのは、注目されている証です。AIをビジネスに取り入れる風潮が現れているので、これらの企業はIBM Watson 日本語版を活用したソリューションを開発・提供し、先駆者になろうと考えているのだと思います。先駆者には「先行した利益」というものがあり、 iPhone や iPad でもそうでしたが、初期に挑戦を始めた企業は後発の企業よりも成長が早い。こうしたパートナーと組むことで新しいサービスがたくさん生まれ、私も成功事例として広く紹介できることを期待しています。
講演のネタを集める際には社内よりもSNSでのネットワークを活用する、エヴァンジェリストの中山 五輪男。自分の足で取材し新鮮味のある事例にスポットを当てることが面白い講演となる理由のひとつとなっており、講演後の名刺交換からのつながりで講演依頼は1年先まで埋まっているという。一方、「SoftBank World 2016」で紹介した事例では、小島プレス工業様、プロトコーポレーション様、イサナドットネット様の裏話が語られた。中山がそれぞれの事例を知った経緯や事例として取り上げたソリューションが導入された背景など、自ら取材をしているからこそ知ることができる内容が紹介された。また、IBM Watson 日本語版のエコシステムパートナーが1年で6倍弱に増えている理由にも触れ、AIの先駆者として大きな利益を得て成長を狙う企業が増えているという見解が語られた。

(取材日 2016.08.19)
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