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Pepperを活用した事例が多数紹介されたソフトバンクグループの法人向けイベント「Pepper World 2017」をレポート。2017年は「業務自動化」をテーマに多数のセッションや展示が行われ、最新の活用事例が紹介された。

DAY1 基調講演 ~Pepperによる業務自動化の実現に向けて~

イベントの幕開けを飾った初日の基調講演では導入企業の方々が登壇し、活用事例を通してどのような成果が得られたのかの発表が行われた。
株式会社はま寿司
取締役 営業本部 本部長
田邊 公己 氏
お客さまのご案内をはじめ、これまで人間が行ってきた回転寿司店舗の受付業務にPepperを導入し、席のご案内や、整理券の発行、お呼び出しを自動化。レジ業務やテイクアウトの受付をしながら、お客さまのお呼び出し・ご案内もする業務の一部をPepperに任せることで、従業員の労力を低減させることに成功。さらに忙しい時間帯でもお客さまをタイムリーに案内できることや、家庭にないエンターテインメントによるわくわく感の演出によって、多くのお客さまから好評を得ている。今後はメニューのレコメンドや顧客情報を活用したコミュニケーションの充実を目指す。
B-Rサーティワンアイスクリーム株式会社
営業統轄本部営業推進本部長 執行役員
佐藤 健 氏
一日に1店舗で約1,000人の来店が見込まれる「SUPER FRIDAY(※)」を成功させるためPepperを導入。人員確保が難しい店舗に置き、SUPER FRIDAYの説明やスマホの操作案内を行った。店舗スタッフからは「お店でキャンペーンが行われていることをアピールできた」、「Pepperがスマホの操作案内をしてくれるので呼び込みが楽になった」などの声が寄せられた。また、SUPER FRIDAYの実施が11月だったこともあり、導入店舗でクリスマスのアイスクリームケーキの案内も実施させたところ、販売数が8.5%も上がりクリスマスセール全体でも前年比103.7%まで上昇。人件費の削減だけでなく売り上げの増加も望めることが実証された。さらに顧客リストの収集策としてPepperとLINEを利用しクーポンを発行するO2O施策も実施。33日間で1,670件の顧客リストが収集できた。
※ソフトバンクのスマートフォンユーザーに向け、金曜日に使えるクーポンを毎週火~木曜日にメールで配信する企画。2016年11月にはサーティワンアイスクリームのプレゼントクーポンが発行された。
医療法人沖縄徳洲会湘南厚木病院
経営企画室 室長 兼 医療サポートセンター センター長
山下 尚子 氏
院長から導入を促され、Pepperができることを研究。当初はフロアに設置し、院内のロビーコンサートのプレゼンテーションや回復期・リハビリテーション病棟で患者さんとの会話を担当させるなどしてきたが、ソフトバンクより疾患啓発への利用を提案され実施。認知度が低い睡眠時無呼吸症候群のヒアリングを来院した方へ勧めることに取り組んだ。体験者からは「先生だと緊張するがPepperだと気楽にできる」、「自分の気持ちを素直に出せる」という声が集まった。Pepperを利用する人の変化もあり、以前は30-60代が約20%、女性が約70%の利用率であったのが、疾患啓発へ利用したところ、30-60代が約50%、男性が約60%という利用率に転じ、体験者の54%が受診を希望。満足度も73%に上った。ターゲットである30-60代に利用され、認知の上昇と共に検査の件数も増えたため、今後は他の疾患啓発を行うことも検討中である。
ソフトバンク仙台六丁の目店
ショップディレクター ソフトバンク接客No.1グランプリ2016 東北代表
濱田 茜子
ソフトバンクショップを盛り上げるエンターテイナーとしてダンスや音楽を披露し、お客さまを笑顔にしてきた存在であったが、役割をスタッフの本業へと近づけ、「店舗で使えるPepper」をソフトバンクロボティクスと協業し開発。愛嬌のある接客と一度覚えたら忘れないロボットならではの機能を活かし、ソフトバンクカードとスマートログインの説明・案内などをスタッフとタッグを組んで実施。結果はPepperの柔らかい伝え方が好評で、ソフトバンクカード、スマートログイン共に一日平均の成約数が2倍になった。今後はスマホやインターネットなど、より複雑なサービスのクロスセルの案内や、説明できる商材の数を増やすことが目標だ。
ソフトバンク株式会社
専務取締役
榛葉 淳
「Pepperがもたらす企業変化」と題した講演では、人類は2020年前後でロボットが人間の頭脳を超えるSingularity(シンギュラリティ)を迎えようとしており、その柱となるものがAI、IoT、ロボティクスであると説明。Pepperはお客さまに喜んでもらったり、業務の効率化を図るところからスタートしたが、これからは家庭や企業などに隠れている、ありとあらゆるデータを集めビッグデータと融合させることで、「トレージャーデータ」に変えていく存在になっていく。そしてPepperは、AIとIoTに命を吹き込む「Bringing AI/IoT to Life」という位置付けとなり、Singularityの水先案内人として重要な役割を担ってくるだろうと語った。
ソフトバンクロボティクスグループ株式会社
代表取締役社長
冨澤 文秀
前回はPepperを導入するとどれだけ売り上げが上がるのか。或いはコストが下がるのかをテーマに事例を紹介してきたが、その後、研究・取り組みを行い、ある分野では非常に高い効果が見込めることが判明。そこで第3回となるPepper Worldでは「人とロボットの違いとは何か」、「ロボットならではとは何か」ということをテーマに、導入企業の事例を通して人とロボットの協働にフォーカスしていきたいと語った。

DAY2 基調講演 ~IoTとRobotの未来について~

2日目の基調講演ではSingularityを支える3つの柱である、AI、ロボティクス、IoT。その中でIoTとロボティクスの関係について、ソフトバンクロボティクスの吉田とARM Holdings plc,のIan Ferguson 氏のセッションが行われた。
お客さまに商品を買ってもらい売り上げをアップさせるには、動画やポスターを見てもらうよりも声を掛け足を止めてもらうなど、会話を通して人を動かす「エンゲージメント」の力が重要であり、Pepperは人に近いエンゲージメントを提供できるということ。また、ネットワークを経由しエンゲージメントを提供できるPepperに様々なデバイスをつなげることで、より多くの顧客データを収集できるとして、IoTに命を吹き込むのはロボットであることが語られた。

DAY1 セッション

Pepper World 2017では、2日間で約20ものセッションを開催。DAY1からは「販促の自動化」、「インバウンド需要の取り込み」、「IoTのハブとなる新サービス」の講演内容にフォーカスを当てて紹介する。

新たな顧客接点の創出!Pepperで挑む販促自動化

株式会社 岡村製作所
マーケティング本部 ソリューション戦略部 ICT担当部長 斎川 幸貴 氏
Pepperを歩かせて「オカムラ」のショールームを案内するサービス。Pepperにショールームを歩かせ地図を作成し、レーザセンサー等で現在地を特定することで案内ができるようになっている。5日間で29組81名に体験していただき、見積もりを依頼したいと思ったお客さまが約7割に上るなど高評価を得た。今後はお客さまから用件を承り、提案する家具まで歩いて説明するパターンや、オカムラのデザイナーの思考を取り入れたAIと同期させることも考えている。
ソフトバンク株式会社
コンシューマ営業統括 Y!mobile営業本部 副本部長 近藤 貴幸
Y!mobileでは成約数アップに効果が見込める、ショッピングモールでのイベントの回数を増やすにあたり、人件費の増加や時間が掛かるスタッフ育成などの問題を抱えていた。そこで、Pepperを2台導入し販促の自動化を考案。呼び込み用とアンケート用で機能を分け、集客のPepperに人が滞留してもアンケートがスムーズに行えるよう工夫した。結果として通常のイベント時よりも2.8倍の成約数を得ることができ、スタッフ1人あたりの成約数も3.4倍となったほか、接客に集中できたことでスキル向上にもつなげることもできた。

インバウンド需要をPepperで取り込む新たな試み

全日本空輸株式会社
デジタル・デザイン・ラボ エバンジェリスト
野村 泰一 氏
Pepperを新入社員に見立て、空港内で人の代わりに業務をさせる取り組みを紹介。「3カ国語を話せる」、「同じことを繰り返し言い続けられる」、「タブレットを使い情報を的確に伝えられる」といった特長を生かし、午前は手荷物カウンターの前で案内を行い、午後はチェックインカウンターでスタッフのサポートをするなど、時間帯によって課題となる業務が変化する空港ならではの活用方法が紹介された。結果としてスタッフが個別のお客さま対応に集中できるようになったり、お客さまの質問履歴から新たな課題を発見できるなどの成果が見られた。今後は空港ごとにワークショップを行い、その空港ならではの課題を抽出したうえで導入していく方針だ。
白鶴酒造株式会社
広報室 副主任
大岡 和広 氏
白鶴酒造資料館でPepperを活用。江戸時代から続く酒蔵を再利用した資料館は灘の酒蔵が立ち並んでいる地域にあり、外国の観光客も多い場所であるが、多言語で対応できるスタッフは少ないという悩みを抱えていた。そこで、3カ国語を話せるPepperを資料館に設置。さらに白鶴酒造の全商品をPepperに登録し、料理に合ったお酒の紹介やおすすめの商品を説明するコンテンツも併せて展開したことで、2017年1月の免税対応数が昨年の同じ時期と比べ2倍に増えた。今後はレコメンド機能を使い呼びかけ続ける対応や、観光客の傾向をふまえおすすめする商品を変えるなど、ターゲットマーティングを行う予定だ。

IoTのHubとしてPepperが生み出す新たなサービス

川崎重工業株式会社 常務執行役員 自動化推進担当 ロボットビジネスセンター センター長
橋本 康彦 氏
産業ロボットを日本に初めて導入し、現在では世界の約半分のシェアを誇る川崎重工。その50年に渡るロボットのノウハウを生かし、Pepperとのコラボレーションを考案。深夜の飲食店でPepperが注文を受けて支払処理まで行い、裏では作業ロボットがメニューを作りサーブする無人営業の施策。また、Pepperがお客さまに買いたいスマホの要件をヒアリングし、それを受けた作業ロボットがソフトウェア等のセットアップをしてお客さまに渡すといった、コミュニケーションロボットと作業ロボットがコンビで動いて実現する、業務の自動化に取り組んでいることが紹介された。
株式会社グローバルワイズ
技術担当取締役
稲野 清治 氏
自動車部品製造に関するシステム開発に携わっており、工場内の見回りを人の代わりに行う仕組みを開発。機械だけでなく人が往来し車も走る工場内では、頭と目と耳と口が必要と判断。頭には理解力や判断力を持たせるためAIを導入。目と耳と口はそれぞれ人が遠隔操作できるほか、録画・録音機能も付け、外国人スタッフ向けに翻訳機能も持たせている。移動に関しても試行錯誤の結果、無人搬送車(AGV)に乗せることで解決。Pepperがどこを移動しているかはクラウドで管理されており、人が倒れていたらその情報を遠隔にいる管理者へと伝えることができる。今後は病院は空港、ショッピングフロアでお客さまの案内や監視に応用できる可能性を考えている。

DAY2 セッション

DAY2からは「病院・薬局での活用事例」、「企業の受付の自動化」について紹介。各セッションとも活用事例と実績、さらには今後の展望も含めたプレゼンテーションが行われた。

病院・薬局におけるPepper活用事例と新アプリのご紹介

医療法人沖縄徳洲会湘南厚木病院
経営企画室 室長 兼 医療サポートセンター センター長 山下 尚子 氏
院内に設置し試行錯誤繰り返していたが、睡眠時無呼吸症候群の疾患啓発に活用。短期間で疾患の認知から診断までつなげたいと考え、30-60代の男性をターゲットに2週間実施。院内の5ヵ所に設置し健康チェックを行い、その結果をプリンタで出力。受付に提出することで診断につながる流れを作った。約5割が関心を持ち7割以上が「満足」だと回答。現在は4つの科から疾患啓発をして欲しいという依頼を受けているほか、徳洲会グループの病院にも展開される予定だ。
フィリップス・レスピロニクス合同会社
営業本部 営業統括部 セールスプロモーションマネジャー 大森 敦雄 氏
睡眠時無呼吸症候群の患者は200-300万人いると言われていながら、実際に治療を受けているのはその1割という、啓発が重要になる疾患。生活習慣病との合併も多く、早めの治療が必要であるため、ポスターやウェブサイトなどで啓発をしてきたが、潜在的な患者に啓発できない課題もあった。しかし、Pepperは潜在的な患者とコミュニケーションし、必要な情報を伝えられる有効なツール。その場ですぐに診断や検査の予約につなげられる効果的な啓発方法だと期待している。
総合メディカル株式会社
薬局事業本部 薬局事業推進部 シニアマネージャー 下新原 統志 氏
全国に600店舗の調剤薬局を展開しており、新たなサービスを提供するためにPepperを導入。これまではリーフレットの配布や、プライベートブランド商品の販売が多かったが、地域に密着する目的で健康イベントを開催し、Pepperによる健康チェックを実施。また、薬局の店頭で疾患啓発を行ったり、商品の販促、かかりつけの薬剤師の案内なども行った。3店舗でテスト的に導入した結果、厚木では約2割、豊洲では約3割のお客さまに触れてもらうことができたほか、薬剤師への相談件数も増加。今後はさらに薬局への相談につながる活用方法を考えていきたい。

受付はPepperだけ!様々な業界で進む、受付自動化

株式会社図書館流通センター
江戸川区立篠崎図書館(指定管理者) 館長
吉井 潤 氏
江戸川区立篠崎図書館では、コストの削減と「人に代わってできることは機械に任せ、人にしかできない仕事は人に専念させたい」という目的のもとPepperを導入。Pepper for Bizを日本で初めて導入した図書館となった。自動貸し出し機の案内や図書館内の展示物の紹介、さらに図書館利用に関する質問に答える機能を設け、導入後の1ヵ月は674人が話し掛けたがその後は減少。そこで座席の予約機能を搭載したところ、前年比で利用率が115%増加。Pepperへの接触数も500人程度で推移するようになり、「座席予約が便利になった」との声も寄せられるようになった。次は音声による本の検索機能のリリースを予定している。
日本空港ビルデング株式会社
経営企画本部 事業企画部 次長
志水 潤一 氏
世界の玄関口である羽田空港から日本の優れた技術を発信すると共に、今後も質の良いサービスをお客さまに届けること。そして、空港スタッフが働きやすい環境を創出するため「羽田ロボティクスラボ」を立ち上げた。背景には旅客需要の増加に伴う人員不足の解消や人材育成に費やすコストの削減、また、人とロボットで業務の棲み分けを行い、人が行ったほうが良いサービスには人を集中させ、サービスレベルの向上を狙いとしている。今後導入を加速させていくにあたり、まずはリアリティあるテスト環境が必要と考え、全国からサービスロボットを募集し羽田空港内でテストを実施。Pepperもインフォメーションセンターのコンシェルジュとして参加した。
日本空港ビルデング株式会社
経営企画本部 経営企画部 経営企画課 事業企画部 事業企画課 課長代理 倉富 裕 氏
羽田空港を使ったテストでは、清掃、移動支援、案内の3種類のロボットを募集。約2週間の募集期間で23社の応募があり、17社がテストを実施。公共空間では日本初の試みとなったテストにおいて、Pepperはインフォメーションセンターのコンシェルジュとして3台が対応。お客さまと対話し案内する機能、タッチパネルで施設紹介をする機能のほか、遠隔操作でいつでもオペレーターにつなげるようにした。結果はお客さまに喜ばれ、特にタッチパネルを利用した施設案内はPepperのほうが上手であるなど、人とロボットの役割を棲み分けるための知見を獲得できた。一方、公共空間内での音の認識やオペレーターの習熟度などの課題も見つかったため、改良を重ね空港でも積極的に活用することを目指している。
第3回目を迎えた「Pepper World 2017」では多数の基調講演やセッションが開催された。業務の自動化をテーマにコストの削減はもちろん、ロボットにもできることはロボットに任せ、人は人にしかできないことに専念させ効率化を図り、サービスや品質を向上させるという考え方を持つ企業が多く見受けられた。そのため、Pepperの役割は人により近づいており、今後は人の業務の中からPepperができることを探し出し、人とタッグを組んで活用される機会が増えていくだろう。

(取材日 2017.2.8/9)
 
ソフトバンク ロボティクス
https://www.softbank.jp/robot/biz/
 
SoftBank Robot World
https://www.softbank.jp/robot/special/robot-world/
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