• TOPICS
  • 地方創生
  • 働き方改革

2017年12月18日、徳島県とソフトバンクは、IoT、ビッグデータ、AI等の利活用により地方課題の解決を図るとともに、新たな産業・サービスの創出を目指す「とくしまインダストリー4.0」の実現に向け、包括連携協定を締結。
その徳島県では、過疎化・高齢化が最も急激に進行している県のひとつである。徳島県中央部に位置する山間部の町・神山町に、東京・大阪などに本社を置く企業が次々とサテライトオフィスを開設し、若者層が流入しつつあることは、地方活性化の好例としてよく知られている。神山町で最初のサテライトオフィスが開設してからはや7年。現在、同町ではどんな人がどのように働き、どのようなメリットが生まれているのか? そして、神山町でサテライトオフィス誘致が成功した要因とは? 神山町のサテライトオフィスプロジェクトの「今」に迫る。

山間のサテライトオフィス集積地・徳島県神山町の「今」
【後編】ユルさと変化を楽しむ風土がポイント!神山町 企業誘致の裏側
 
プレスリリース「とくしまインダストリー4.0の推進に向けた包括連携協定」の締結について
https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2017/20171218_01/

単にチームメンバーの1人が神山町にいるというイメージ

徳島市内からクルマで走ること約50分。神山町は、棚田や山林が広がり、小鳥がさえずる「いかにも地方」という感じののどかな町だ。この町にサテライトオフィス「Sansan神山ラボ」を置いているのが、東京に本社を構えてクラウド名刺管理サービスを提供するSansan株式会社。オフィスは築70年の古民家を改装した建物で、都会の無味乾燥としたオフィスビルとは全く異なる、温かな雰囲気を醸し出している。

現在、この「神山ラボ」には、辰濱氏を含め2名のエンジニアが常駐。東京の本社と連絡を取りつつ業務を進めている。辰濱氏はスマホアプリの開発チームに、もう1人のエンジニアはサーバサイドの開発チームに所属。「単にチームメンバーの一員が神山町のオフィスにいる、というイメージですね」と辰濱氏は言う。

東京で働いているエンジニアが集中して開発に取り組みたいと1ヵ月くらいやってくることもしばしば。エンジニアのみならず、営業部や新卒研修の合宿の場としても使われている。2017年の夏休みには、多くの社員と家族がここに滞在し、阿波おどり見物などを楽しんだ。

神山町にシリコンバレーと似た魅力を感じた

辰濱 健一氏
Sansan株式会社 Eigtht事業部
Sansanが神山町にサテライトオフィスを開いたのは2010年10月のこと。社長の寺田親弘氏の発案によるものだった、と辰濱氏は語る。

「寺田は米国シリコンバレーでの勤務経験があり、日本のITエンジニアの働き方に疑問を抱いていたそうです。一日中オフィスにこもって、PCに向かって仕事をしている。『本当に生きているのか?』と(笑)。シリコンバレーでは緑も多い素晴らしい環境の中で、クリエイティブな人たちが活き活きと働いている。日本でもそうできないのか、と考えたのがそもそもの発端です」

そんな思いがあった中、寺田氏は、高校・大学時代の友人である建築家が、神山町で古民家再生プロジェクトに携わっていたことから、視察に来ることに。その際にこの町にサテライトオフィスを開設することを即決した。
寺田氏が神山町でのサテライトオフィス開設を決めた大きな理由の1つとして、この町に高速の光ファイバー網が整備されていたことが挙げられる。徳島県では、2011年のテレビ放送の完全デジタル化に伴い、アナログ放送時代は入っていた大阪の放送局の電波が届かなくなり、見られるチャンネルが10からわずか3に減ることに。これを危惧し、ケーブルテレビ視聴のために、県内全土、山間部に至るまでくまなく光ファイバー網を張り巡らせていたのだ。これはもちろんインターネット接続にも活用できる。「利用者が少ない分、こちらのほうが速度は速いかもしれませんね」と辰濱氏は言う。

また、後編で触れるが、神山町はもともと国際交流が盛んな町。民間のNPO法人の主導により、海外の芸術家を町に招へいし、滞在中の作品制作を支援する「神山アーティスト・イン・レジデンス」の活動も1999年に開始され、当時ですでに10年以上に渡って行っていた。

「地方だけれども海外の人がたくさん来て、クリエイティブな活動をしている。寺田はそんなところにシリコンバレーと同じような魅力を感じたようです」と辰濱氏は語る。

東京に出張しても「なんでわざわざ来たんだろう?」と(笑)

仕事をする上では、Skypeやチャットツールなどをフルに活用。東京オフィスにいるメンバーと密にコミュニケーションを取りながら進めていく。

「慣れてきたら不便は全く感じないですね。東京オフィスでもインターネット上の開発ツールを使って開発を進めているので、エンジニアはインターネットに接続さえすれば開発作業はできますから」と辰濱氏は言うが、当初は当然、苦労もあった。
「例えば、18時から会議が予定されているとして、東京のオフィスにいれば、『あ、バタバタしているから開始が遅れそうだな』と肌感覚でわかりますよね? でも、こっちにいると、予定時間になってPCの前に座ってもなかなか始まらないと、時間を間違えただろうか……?と不安になってしまう。

また、複数の人を相手に会議をする際に、相手が1台のPCやスマホでSkypeにつないでいたりすると、奥の人の言っている発言が聴き取れなかったり、逆に、こちらの声がやたら大きく響いてしまって、周りに誰がいるのかわからないからセンシティブな会話ができなかったり、といったこともありましたね」
こうしたサテライトオフィスで起こりがちなコミュニケーションの問題に対して、例えば会議参加者全員が各自のPCでイヤホンマイクをして会議にログインするようにしたり、全員で顔を見て会話ができるツールを導入するなどして、1つひとつ改善してきた。

「今では東京のオフィスにいる人ともオンラインツールを使って仕事をしているので、たまに東京に出張に行くと、『なんでわざわざ来たんだろう?』と思うことも。Face to Faceで話ができる貴重な機会なので、チームメンバーと一緒にご飯を食べに行ったり、他部署の人と飲みに行ったりと、出張中は社員とのコミュニケーションに重きを置くようにしています。」と辰濱氏は笑顔で語る。

神山町での経験を多様な働き方にスケールできるノウハウが溜まってきた

「神山ラボ」を開設して7年。東京本社と離れた地方にいる人と働く仕組みを作ったことは、Sansanに大きなメリットをもたらしている。その好例が地方在住の人材の採用だ。どうしても採用したいが、「京都でしか働きたくない」と言う人がいた時に、その人のために京都にオフィスを開設し、実際に採用に至ったというケースがあったという。

「こういう採用形態は、神山ラボにおいて、離れた場所にいる人と一緒に働く経験を積み、『こういうツールを使えば何とかなる』とわかっているからできたこと。新潟の長岡市でも、同様の形でオフィスを開設しています。また、この仕組みは、新規採用だけでなく、家庭の事情で地方に帰らざるを得なくなった人を継続雇用することにも活用できる。多様な働き方にスケールできるノウハウが溜まってきたと感じています」

地方にいることで、自分自身の希少価値も高まる

辰濱氏が現在住んでいるのは、オフィスから車で5分程度の一軒家。9時半始業で、起きるのは9時くらい。昼食はオフィスで作って食べ、夕食もここで作って食べてから帰宅する。東京のオフィスに比べて広々としているので集中しやすいし、生活コストも安い。「何よりうれしいのは満員電車に乗らなくて済むことですね。」と辰濱氏。

プライベートも充実している。辰濱氏の趣味はトランペットやエレクトーンの演奏。音楽仲間を町で見つけ、休日は一緒に、安価で借りられる貸しスタジオで練習し、お祭りなどで演奏を披露している。また、夏の阿波おどりの前になると、地元の人と一緒に週3回、グラウンドで練習することも。「まるで部活みたいですね」と笑う。

ただし、必ずしも全員が全員、この神山町のサテライトオフィスで働くことにフィットするわけではない。実際、以前、オンライン営業の担当者2名がここに常駐していたことがあったが、わずか4ヵ月で東京に戻ることになったそうだ。「ここにいると他のメンバーがどれだけ働いているか温度感が伝わってこないので、自分を厳しく律せないとだらけてしまう。モチベーションを保つのは東京のほうがいい、ということで東京に戻りました」
辰濱氏自身はできる限り長く今の環境で働きたいと考えており、「東京に転勤になるようなら辞める、と会社に伝えてある」とさえいう。最近は四国で開催されるエンジニアの勉強会やイベントで講師を頼まれ話す機会も増え、それによって自身のスキルアップの手応えも感じている。

「エンジニアが10万人いるところと、100人しかいないところがあるとして、10万分の1と100分の1だと、当然、100分の1のほうが存在感や役割は大きいですよね。そういう意味でも、地方の方がやり甲斐を感じる機会が多いように思います」
取材日:2017年11月29日
山間のサテライトオフィス集積地・徳島県神山町の「今」
 
【後編】ユルさと変化を楽しむ風土がポイント!神山町 企業誘致の裏側
https://tm.softbank.jp/future_stride/topics/20180126/
関連リンク
 
プレスリリース「とくしまインダストリー4.0の推進に向けた包括連携協定」の締結について
https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2017/20171218_01/
 
自治体・公共向けソリューションページ「ぱわふる」
徳島県特集記事「とくしまサテライトオフィスプロジェクト」
https://tm.softbank.jp/public/introduction/tokushima/satellite-office/
 
Sansan株式会社
https://jp.corp-sansan.com/
 
Sansan神山ラボ
https://jp.corp-sansan.com/blog/kamiyama
ビジネスメールマガジン(無料)

最新サービスや事例のご紹介、イベント案内、最前線の情報など、役立つ情報を配信中。

個人情報の取り扱いについて

本フォームにご入力頂いたお客さま情報は、個人情報保護法および、当社プライバシーポリシーに従い適切に管理いたします。 ソフトバンク株式会社「個人情報保護のための行動指針

お預かりしたお客さま情報は以下の目的に限り使用いたします。

  • ・弊社取り扱い製品、サービス、セミナーなどに関する情報のご案内
  • ・お問い合わせや資料請求への対応
  • ・今後の販売活動のためのマーケティング・分析活動

お預かりしたお客さま情報はお客さまご本人から、当社の運営上支障が無い範囲で閲覧、修正、削除を要求することができます。その場合はお問い合わせ先までご連絡いただけますようお願いいたします。

その他のTOPICS