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※【情報更新】2018年8月29日

日本国内のパブリッククラウド市場は近い将来1兆円を超える規模になると言われている。世界に目を向けると、Amazon Web Services (以下AWS)、 Google Cloud Platform™ (以下GCP) 、IBM Cloudに続き、第4の勢力としてAlibaba Cloud(アリババクラウド)が急激な成長を見せており、そのシェアは第3位にまで食い込んできた。

本項では、パブリッククラウドの特長や導入メリットを整理し、Alibaba Cloud、GCP、Microsoft Azure、IBM Cloud、AWSの主要クラウドサービスを中心に、プライベートクラウドやオンプレミスとの違いを解説する。

■目次
 ・パブリッククラウドとは
 ・パブリッククラウドの市場と最新動向
 ・世界5大パブリッククラウドと選び方・比較
 ・パブリッククラウドの利用シーン
 ・まとめ

パブリッククラウドとは

パブリッククラウドとは、企業や個人など不特定多数のユーザに対し、インターネットを通じて、サーバやストレージ、データベース、ソフトウェアなどのクラウドコンピューティング環境を提供するサービスのことを言う。

特定ユーザにのみ向けたコンピューティング環境であるプライベートクラウドと異なり、パブリッククラウドは高額のハードウェアや通信回線を自社で購入・保守する必要がなく、必要なときに必要な量のクラウド環境を、素早く利用することが可能となる。ストレージやデータベースを追加したい場合でも、サーバの契約を意識することなく、サービスとして利用できるため「サーバレスコンピューティング」とも表現される。

サービスによってはインターネットから分離された閉域ネットワークを活用したセキュアな環境を提供しているものもあり、基幹系システムでも安全に低遅延で使うことができる。

国内でも通信事業者などを中心に閉域ネットワークを提供するサービスを展開しており、例えばソフトバンクでも、クローズドネットワーク経由で各種クラウドサービスへアクセスするゲートウェイサービスを提供している。(※)

また、多くのサービスでは使用分に応じて料金が発生するため、少量の使用ならば比較的安価に利用でき、料金さえ支払えばほぼ無制限にリソースを拡大できることも大きな魅力と言える。
(※)ソフトバンクの各種クラウドアクセスサービス
「SmartVPN」に代表されるソフトバンクの閉域網サービスから、各種パブリッククラウドへアクセスするゲートウェイサービスが用意されている。
クラウドアクセス

パブリッククラウドの市場と最新動向

調査会社のIDC Japanによると、2017年の国内のパブリッククラウドサービス市場は5,000億円を超えており、2022年には1兆4,065億円になると予測される(※1)。

また、世界市場では、2018年には前年比23%増の1600億ドル(約17兆7700億円)に達するとの見通しをIDCは発表しており(※2)、今なおパブリッククラウド市場は高い成長を見せている。

このように右肩上がりの成長を続けるパブリッククラウドの中でも、著しい成長を見せているのがAlibaba Cloudだ。 Alibaba Cloudは2017年に約112億元(約1兆8780億円)の売上を記録しており、中国におけるパブリッククラウドIaaS(Infrastructure as a Service)市場の47.6%を占めている。世界市場でもAWSとMicrosoft Azureに次いで、第3位のシェアを誇っている(※3) 。

世界5大パブリッククラウドと選び方・比較

Alibaba Cloud(アリババクラウド)とは
ジャック・マー率いるアリババ・グループ(阿里巴巴集団)が提供するパブリッククラウドサービス。アジア圏を中心に世界18リージョン、1200以上のCDNノード数を持ち、世界トップ3のIaaSプロバイダーとして躍進している。

とりわけ中国では、500以上のCDNノード数、8リージョン、複数のアベイラビリティゾーンを展開しており、全世界でも230万以上のユーザを抱えている。

Amazonに並ぶECサイト「Tmall(天猫)」や、1秒間に140,000件の支払いを処理して世界記録を塗り替えた「Alipay(支付宝)」等をホストしているものと同等のクラウドインフラストラクチャと、高水準の国際基準に準拠したデータセキュリティを完備した、強力でセキュアなインフラ基盤を利用できる。

用途としては、アジアを発信地とした急成長するビジネスのIT基盤にパブリッククラウドを考えているなら、Alibaba Cloudを検討したい。将来的には中国含めたグローバルビジネス展開が視野にあるならば、Alibaba Cloudが選択肢として有力だ。
Google Cloud Platform (GCP) とは
Google が提供するパブリッククラウドサービス。世界15のリージョン、45のゾーン、100ヵ所以上の拠点でサービスを提供しており、2016年には東京でも運用を開始した。現在、日本には東京に3ゾーンがあり、大阪にも3ゾーンが新たに開設される予定だ。

Google 検索や Gmail 、YouTube 、 Google マップなど、 Google の各種サービスを支えるプラットフォームと同等の、高性能で高速、セキュアで安定した強固なインフラを利用できる。

また、多様な言語に対応したPaaSである Google App Engine は、アプリケーションのユーザが急激に増えた際にも自動的にスケールされるため、大規模なユーザ増にも耐え得る。

サービス系アプリだけでなく、わずか数分でテラバイト単位のビッグデータを処理できるBigQueryや、ディープラーニング用サービスのCloud Machine Learningなども優れているため、機械学習を活用したビッグデータ解析を行いたい場合には検討したい。

また、 Google が提供している Gmail や Googleカレンダー 、スプレッドシートなどのクラウドサービスとの連携にも最適で、Google App Engine も利用可能なため、これらの Google 製品を活用している場合は、真っ先に検討したい。
Microsoft Azure とは
Microsoftが提供するパブリッククラウドサービス。世界54のリージョン、140ヵ国でサービスを提供しており、拠点数はAWSやGCPと比べても圧倒的に多い。Office 365などのMicrosoft製品との親和性が高いことも特長のひとつ。

市場唯一の一貫性のあるハイブリッドクラウドを謳っており、既存のシステムからスムーズに移行しやすい。Active Directoryとの連携に長けており、Active Directoryを導入している企業にとっても移行しやすいサービスだろう。

また、Azure Marketplaceに多種多様なアプリケーションが用意されているため、さまざまな機能拡張を比較的容易に行える。

用途としては、Microsoft製品との連携が要件に入る場合はまず検討したい。Active Directoryを使ったイントラネットなどをクラウドに移行したい場合などにも有効だ。
IBM Cloud とは
IBMが提供するパブリッククラウドサービス。世界に60ヵ所のデータセンターを持つ。IBM Cloudは、特長として「Designed for your Data」「Ready for AI」「Secure to the Core」の3点を謳っており、データの完全性、低レイテンシー、並列処理が必要なAI集約型のワークロードを強化すると謳っているほか、IBM Watson®と機械学習の幅広いAPIを提供している。

また、IBMは基幹業務システムの構築実績が豊富であることから、レガシーなオンプレミスの環境で構築された基幹業務システムのクラウド移行先として、IBM Cloudは強みを持つ。

したがって、機械学習やWatsonを活用したビッグデータ分析を行いたい場合や、オンプレミスの基幹業務システムのクラウド移行を検討している場合は、IBM Cloudを選択肢に入れるべきだろう。
Amazon Web Services (AWS) とは
Amazonが提供するパブリッククラウドサービス。世界18のリージョン、55のアベイラビリティーゾーンで運用されており、日本には東京と大阪にアベイラビリティゾーンがある。近々、バーレーンや香港特別行政区、スウェーデン、米国で4つのリージョンと、12 個のアベイラビリティーゾーンが追加される予定だ。

2004年からサービスを提供しているシェアNo.1のサービスで、ストレージには一日の長がある。

パブリッククラウドのデファクトスタンダードとも言えるサービスであり、サービス系アプリやビッグデータ分析、ストレージなど、幅広い利用に適した優等生な性能を誇るため、パブリッククラウドを比較検討する際にはまず候補に入れるべきだろう。
※各種数値などは2018年8月29日時点の各社Webサイト記載のものです。

■ソフトバンクが提供する各種クラウドサービス
Alibaba Cloud
Google Cloud Platform™
Microsoft Azure
IBM Cloud

パブリッククラウドの利用シーン

パブリッククラウドの利用シーン
パブリッククラウドの利用シーンを一言で表すならば、「利用するリソース量の増減が頻繁に想定されるとき」に尽きる。

パブリッククラウドの主な特長は、①少量から膨大なリソースまで、必要なときに、必要な量だけ利用できる、②使用分に応じて料金が発生する従量課金制、の2つに集約される。このようなパブリッククラウドの特長は、サーバやストレージなどの必要なリソースを素早く揃え、サービスのスケールに応じて拡張したいケースには最適だと言える。

パブリッククラウドが存在しなかった時代には、サービス提供者は最大の利用量を想定したインフラを常に用意して保守する必要があり、結果、膨大なコストを支払う必要があった。しかし、パブリッククラウドは、利用したいときに利用したいだけのリソースを素早く得られるため、急なリソース不足にも柔軟に対応できる。

また、パブリッククラウドでは利用者側によるハードウェア等のメンテナンスを必要とせず、高性能なクラウド環境をセキュアに利用できることも重要なポイントだ。

例えば、大容量のファイル転送サービス「宅ファイル便」は、オンプレミスでは繁忙期の転送量を見越したインフラ構築に膨大なコストがかかっていたが、AWSに乗り換えたことでコストカットに成功したほか、高性能の環境となったことで転送遅延がなくなりユーザビリティが高まり、セキュリティも向上したという。(※5)
プライベートクラウドとの違い、使い分け
パブリッククラウドは素晴らしく、プライベートクラウドは時代遅れで使えないのか、というと全くそんなことはない。これらには明確に使い分けができる。

プライベートクラウドの強みは、第1に環境を占有できることにある。他の企業やクラウドサービスの提供者に合わせる必要がないため、ハードウェアやOS、データベース、ソフトウェア、セキュリティ環境、回線などを自由に設計することができる。

パブリッククラウドを利用する場合、データをサービス提供者に委ねなければならないし、サービスの範囲内でしかカスタマイズできない。また、ハードウェアやクラウド基盤の状態を利用者側が把握・管理することもできない。コンプライアンスやガバナンスの面から、こうしたリスクを許容できないケースもあるはずだ。その場合は、プライベートクラウドが選択肢のひとつとなる。

ソフトバンクが提供するパブリッククラウドサービス「ホワイトクラウド ASPIRE」(※)は、高品質の環境とあわせて自由自在で柔軟な構成を実現でき、基幹系業務アプリに強い。このような特長は、AWSやGCP、Azureなどにはないため、独自の環境を構築したい場合、「ホワイトクラウド ASPIRE」を選択すべきだろう。
(※)「ホワイトクラウド ASPIRE」
ホワイトクラウド ASPIRE(アスパイア)は、IaaS市場において最高クラスの信頼性と柔軟性の高いネットワーク構成が可能なソフトバンクのパブリッククラウドサービス。
ホワイトクラウド ASPIRE
オンプレミスとクラウドとの違い、使い分け
オンプレミスとは、ハードウェアからソフトウェア、回線、データセンターまで自社で用意する自社サーバのことを言う。クラウドサービスが普及する以前は最もありふれた形態だった。

インフラを構築するための初期コストが高く、時間もかかり、保守メンテナンスや災害対策も必要と、デメリットが目立つが、プライベートクラウド以上に完全な自由設計が可能であり、クローズドな環境なでデータが外部の環境に置かれることがないことが強みだと言える。

例えば、顧客情報など取り扱いに対して一定のレギュレーションやガバナンスに従う必要がある場合、そもそもクラウドを選択できないこともあるだろう。そうした場合には、オンプレミスでのインフラ構築が今でも重要となる。

まとめ

パブリッククラウドは正しく活用すれば、コストや時間、性能、セキュリティなどの面で大きなメリットを生むが、自社にあったパブリッククラウドサービスを選ぶことは、なかなか難しい。本項が読者の皆様のクラウド選びに役立つことを祈る。

次回はパブリッククラウドに関する連載第2弾として、Alibaba Cloudについて掘り下げる。そちらもご覧いただければ、最新のパブリッククラウド活用のヒントが得られると思う。
■参考文献・引用元
※1:IDC Japan株式会社 2018年4月2日プレスリリース「国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表」
※2:日本経済新聞 2018年1月19日記事「パブリッククラウドの世界市場、18年は23%増 」
※3:IT Leaders 2018年2月15日記事【中国電脳事情セレクション】成長著しいAlibaba Cloud、2017年の売上高は1兆9000億円、ほか
※4:総務省 平成29年度版 情報通信白書(引用:図表6-2-1-19 クラウドサービスの利用状況 )
※5:株式会社オージス総研 「宅ふぁいる便」パブリッククラウドへ全面移行 AWS基盤構築事例
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