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AIが身近になってきた。スマホに話しかければAIがジョークを返してくれるし、リビングにあるAIスピーカーに頼めばタクシーも呼んでくれる。今やAIを搭載した電子機器はいたるところに存在している。きっとあなたのポケットの中にも。
AIを使った一部の製品が華々しくスポットライトを浴びている一方で、開発されたものの活用されないAIソリューションも数多くあるようだ。成功するAIソリューションを深く観察すると、1つの共通点があることに気付く。
ソフトバンクのAI Creationで多数のAIソリューションを発掘してきた三上氏と、人気AIソリューションである、対話型AIドキュメント作成サービス「SPALO(スパロ)」を開発したビズオーシャンの小市氏が教えてくれた、成功するAIに共通する「たった1つのこと」を、ともに読み解いていこう。

[目次]
 1. AI CreationとSPALO
 2. AIができることと、AIに求められることのズレ
 3. AIらしさの壁
 4. 使いたくなるAIソリューションに共通すること
 5. これからのAI
株式会社 ビズオーシャン
執行役員 SPALO事業部長
小市 大輔 氏


大手印刷会社、携帯電話会社などを経て、現職。スマートフォンを使ってOfficeドキュメントを作成する手法を研究開発している中、Watsonを活用し、チャットBotと対話しながら、誰でも簡単に素早く作れるサービス「SPALO」を考案する。
【受賞歴】
・第2回 AI Creation 入賞
・Challenge IoT Award 2017 関東大会優勝
・「東京公共交通オープンデータチャレンジ」にて「審査員特別賞」受賞
・ソフトバンク株式会社主催「Ecosystem Partner AWARDS 2017」にて「 Excellent Solution Partner賞 」受賞
ソフトバンク 株式会社
法人事業戦略本部 戦略事業統括部
三上 美紀 氏

AI CreationとSPALO

AI Creation
ソフトバンクが主催する「AI Creation」は、AI(人工知能)を活用した革新的なソリューションの発掘を目的とした次世代ビジネスオーディションだ。IBM Watson™ を活用したAIソリューションをオープンに集め、受賞したソリューションはソフトバンクの営業担当者が販売するという取り込み。

AI CreationはAIソリューションの登竜門として注目を集めている。 三上氏はAI Creationに応募されてくるすべてのAIソリューションに目を通し、光るものを持つAIソリューションの開発者には直接会って説明を受け、ときにはブラッシュアップにも協力してきたAI Creationの立役者だ。
次世代ビジネスオーディションAI Creation
https://www.softbank.jp/biz/ai/watson/ai_creation/
SPALO(​株式会社 ビズオーシャン)
AI Creationが見出した革新的なAIソリューションの代表例が「SPALO」だ。世にある大半のAIソリューションがQ&Aのカテゴリであるのに対し、ビズオーシャンが開発したSPALOは「チャットボットと会話しながらExcelやWordの帳票を作る」というユニークな機能を提供している。

ビズオーシャンは元々テンプレート を販売していた会社だった。スマホが世に浸透してきた頃に、スマホでExcelファイルを作れるようにしたいと考えたが、スマホの画面ではExcelは使いづらかった。

そこでSPALOでは、ユーザが使い慣れたLINEなどのチャットツールをUIに採用し、話しかけるだけで報告書などの帳票を作成できるようにした。SPALOを使うことで、ユーザは移動時間や待ち時間を活用して、効率的にドキュメントを作成できる。働き方改革をサポートするAIソリューションと言っても良いだろう。
SPALO(ビジネス文書作成AIチャットボット)
https://tm.softbank.jp/sme/spalo/

AIができることと、AIに求められることのズレ

世間はAIに過剰に期待している一方、何ができるのかわかっていない
例えば、会社の上司から「AIが凄いらしいね。うちにもAIを導入してくれ」と言われたとして、あなたはAIを使って何をすべきかすぐに思いつくだろうか。

AIは多方面で活用できる技術だからこそ、具体的に何の業務に使うべきかがわかりにくい。何でもできそうな印象がゆえ、開発者側も世間のユーザが何を望んでいるのか見えにくい。何でもできるは、何にもできないに近しい。2016年頃、まだ世間はAIを使ってこれができるというイメージを持っていなかった。だからこそ、何かの機能に特化した「わかりやすいAI」が必要だった。
AI Creationを通して多数のAIソリューションを見てきた三上氏は、そう語る。AIブームの今、世間はAIに対して非常に高い期待値を持ってしまっている。三上氏によると、実際に営業担当者にAIを使ったソリューションを見せたときも多くのリアクションは「これしかできないの?」だったという。しかしこの反応にはリアリティがあり、きっと世間の反応に近いはずだ。 

ゆえに、AI Creationの審査員にはAIの専門家ではない営業担当者も多数参加していた。AIに詳しくないからこそ、フラットな視点で「これいいね!」と思えたソリューションは、ユーザに受け入れられやすい。

AIソリューションの開発者は、この世間の考えるAI像と向き合い、開発したソリューションがユーザに受け入れられるかを判断しなければならない。
チャットボットとの会話で書類を作る「わかりやすいAI」
ビジネスで日常的に使われているドキュメントを、AIに話しかけるだけで自動作成してくれるという、SPALOのアウトプットはとてもわかりやすい。

AI Creationで高い評価を獲得したSPALOは、ソフトバンクの営業担当者によるバックアップを受けてさまざまな展示会などに出展され、非常に高い評価を受けた。

多種多様な業務に日々追われる中、書類作成を面倒だと感じているビジネスパーソンは多いはずだ。会社が秘書でも付けられるなら、すべて丸投げしてしまいたい思いだろう。SPALOはそうしたニーズを的確にくみ取った、わかりやすく、気の利いたAIソリューションだったと言える。
また、SPALOの強みはデータの蓄積にもある。通常、AIソリューションの開発時には膨大なデータのインプットが必要になる。そのデータを元にAIが学習するからだ。しかしSPALOはユーザが帳票を作るために進んでデータを入力するため、一定のルールに沿った多くのデータが集まりやすい。

さらには、SPALOを通じて集積された膨大なデータは、SPALO自身の性能向上だけでなく、新たなAIソリューションの開発にも活用できるため、次の便利で使いやすいAIソリューションのための布石にもなる。AIを活用しようとしたときに多くの企業がデータのインプットで苦労する中、SPALOはスマートにこの問題を解決している。

AIらしさの壁

AIソリューションを開発していくと、しばしば「AIらしさの壁」にぶつかると小市氏は語る。さまざまな工夫を凝らして開発したAIソリューションをお客さまやユーザに見せたときに「AIらしくない」と評価されるのだ。この問題はとりわけ文字や言葉を扱うAIに起こりがちだ。

例えば、人間は「今日」を今日として認識できるし、12時に「2時間後」と言われればそれが14時のことを指していると容易に判断できる。しかしコンピュータにはそうはいかない。WatsonのようなAIを使わなければ、これらを処理するために長いコードを書く必要がある。だからこそ、開発者はAIを使って自然に意味を汲み取ることができるソリューションは十分に「AIらしい」と考えるが、世間の一般人にとっては伝わって当然のこととして、そこにAIらしさは感じない。

AIらしさの壁について、小市氏はこのように説明する。

では、世間が考えるAIらしさとはいったい何だろうか。これは「ちょっと気が利くこと」と言い換えることができるかもしれない。三上氏は、それはつまり「人間らしさ」なのだろうと言う。
SPALOに話しかけると自分に代わって報告書を作ってくれるように、自分の代わりに何かをしてくれたり、サポートしてくれたりする、気が利くAIを「AIらしい」と表現しているのではないだろうか。開発者はこの「AIらしさ」と向き合い、どのようなAIソリューションならば使ってもらえるのかを考えなければならない。

使いたくなるAIソリューションに共通すること

気が利くAI
AI Creationを通して多数のAIソリューションに触れてきた三上氏は、ユーザは自然と「気が利く秘書」をAIソリューションに求めているという。

わかりやすく、使ってみたくなるAIソリューションとしてユーザに受け入れられるためには、そのAIソリューションが自分にしてくれることをシンプルにイメージできて、そのアウトプットが「ちょっと気の利いた」魅力的なものでなければならない。
AIソリューションの開発や社内利用に必要な視点
AIソリューションの開発者や社内の導入担当者は、ともすればAIを使うことが目的となりがちだが、そうして開発や導入されたソリューションは、本当にユーザにとって気が利いたものになるだろうか。

ただAIを使っただけでは「これしかできないの?」と思われてしまっても仕方がない。AIを使って誰にどんな解決を与えたいのか。そこにフォーカスしなければならない。

三上氏は語る。AIはどんなシーンでも使えるため、使いたい人にとってどのようなことが「気が利く」ことなのか、整理する必要がある、と。

これからのAI

これからのAIに求められること
これからのAIソリューションに求められるのは、さまざまな曖昧な指示を高いレベルで「いい感じ」に処理してくれる、秘書のような万能のAIだろう。そんな万能のAIソリューションが実現された未来の会議はきっとこうだ。

あなたが会議室に入って「お茶3つ持ってきて」と言うと、Pepperがお茶を3つ持ってくる。席について「議事録を取っておいて」と頼むと、重要なポイントだけがわかりやすくまとまった議事録をAIが書き起こしてくれる。「それじゃ会議資料を出して」と言うと壁掛けのモニターに資料が映し出され、「鈴木さんの今月の売上見せて」と言えばデータが表示される。

こうした万能のAIソリューションの実現はとても難易度が高い。議事録ひとつ取っても、音声のような非構造化データを、一定のルールに従って構造化するということ自体が、実は難しい。人間であっても議題や議事録を取る人によってクオリティにばらつきが出るものをAIが高いレベルで処理するのだから、当然だろう。

しかし近い将来、AIソリューションは確実にこうした万能型に向かっていくはずだ。そしてその実現は、単体の優れたAIソリューションによって成されるのではなく、裏側で各々の機能に特化した複数のAIソリューションを統合しつつ各処理を行い、ユーザに見せる表向きはひとつの万能AIソリューションとして表現されるのではないかと予想される。
人々の生活に浸透したものはビジネスの現場にも浸透する
かつて日本にiPhoneが上陸したとき、スマホなんてビジネスの現場には使えないと言われていた。しかし人々の生活にスマホが定着し、その便利さが理解された頃、一気にビジネスへの導入が進んだことは記憶に新しい。

AIも徐々に人々の生活に溶け込み、ついにはAIスピーカーが家庭の中に置かれるようになった。今、世間が少しずつAIの便利さを体感し始めていると言っても良いだろう。そしてその先にはビジネスの現場への大々的な導入が待っているはずだ。

ビズオーシャンも既にAmazon EchoやGoogle Home向けのアプリケーションを開発しており、会議室に置かれたAIスピーカーに向けて話すだけで、万能の秘書が応えてくれる未来を目指している。
AIが使われていることが普通の世界
もうすぐ先の未来、人々はそこにAIが使われていることに気が付かなくなるだろう。あまりに自然すぎて、もはやAIが意識されなくなったとき、AIはバズワードとして語られる必要がなくなるはずだ。

AI CreationはAI市場を切り開ける特化型のAIの普及に取り組んできたが、AIが浸透しきったときには、AIという切り口にこだわらず、気の利いたコンピュータが人々の生活を豊かにするための支援を、ソフトバンクとして行うだろう。

今、AIを取り巻く環境が徐々に温かくなってきた。AIの春とも言うべき転換点だ。より良い未来を目指して「これはAIが使えないだろうか?」と知恵を絞るような熱意あるエンジニアが増え、人々の生活が豊かになってくれればと、三上氏、小市氏は語る。

この前の10年で私たちの生活は大きく変わった。次の10年は、もっと変わるだろう。気の利いた「いい感じ」のAIがきっとあなたの生活も変えてくれるはずだ。

取材日 2018年5月10日
■関連リンク
 
株式会社 ビズオーシャンコーポレートサイト
https://www.bizocean.co.jp/
 
IBM Watson
https://www.softbank.jp/biz/ai/watson/
 
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